金羊毛騎士団

金羊毛騎士団の概要

金羊毛騎士団（Ordre de la Toison d'or）は、ブルゴーニュ公フィリップ善良公によって1430年に設立された由緒ある世俗騎士団です。この騎士団は、現在もスペインとオーストリアに存在し、それぞれの国で最高位の勲章として扱われています。

創設の背景

金羊毛騎士団は、フィリップ善良公がポルトガル王女イザベルと結婚する際に、イングランドのガーター騎士団に触発されて設立されました。その目的の一つは、カトリック信仰を守護し異端を排除することであり、この意義は特に宗教改革の時代において重要でありました。具体的には、騎士団はメンバーをカトリック教徒に限定していました。

騎士団の象徴と意匠

金羊毛騎士団には「Pretium Laborum Non Vile」というモットーが掲げられ、この言葉は「我々の努力に対し報償に値しないものはない」という意味です。また、金羊毛の名称は、ギリシャ神話のイアソンの物語に由来し、フィリップ善良公が十字軍の目的もあって採用したとされています。騎士団の衣装は、銀鼠色の縁取りが施された真紅のローブとマントで、特にその華麗さは多くの人々に羨望を持たれるほどでした。

規約と集会

金羊毛騎士団の規約は、最初の集会を控えた1431年に発表され、その後も幾度かの改定を経て、団員や役職者に関する規定が明記されました。集会は主に聖アンデレの日に行われ、この日は騎士団にとって特別な意味を持っています。集会では新団員の選出や、宗教行事が行われ、ブルゴーニュ公国の壮麗な儀式の一環として位置づけられました。

歴史的展開

金羊毛騎士団は、設立から幾度もの歴史的変遷を経ながらも重要な地位を保ち続けました。ハプスブルク家が騎士団の主権者となったのち、この騎士団はより一層の権威を持つようになり、特に16世紀にはその存在感を際立たせました。スペイン・ハプスブルク家が断絶した後も、騎士団はスペインとオーストリアの二つのラインに分かれて存続し、それぞれに異なる勲章を持つことになりました。

スペインとオーストリアにおける現状

今日、スペインでの金羊毛騎士団は王家による最高位の勲章として扱われ、カトリック教徒の男性に授与される伝統があります。一方、オーストリアでは第一次世界大戦後に帝政が廃止されましたが、騎士団はハプスブルク家による名誉として存続しています。最近では、オーストリア金羊毛騎士団がカトリックの男性貴族を限定として団員を選出し続けている一方で、スペインでは授与対象が広がりつつある点が特徴的です。

日本との関わり

日本では、明治天皇から明仁上皇までの4代の天皇がスペイン王国の金羊毛勲章を受けており、このことから日本と金羊毛騎士団の結びつきがあることがうかがえます。また、現代においてもハプスブルク家や他の王侯貴族が団員として名を連ねており、重要な名誉を保つ役割を果たしています。

金羊毛騎士団は、その歴史的背景と共に、優れた名誉と依然として存在感を保ち続けている騎士団であり、今後もその姿が注目されることでしょう。

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