銀装騎攻オーディアン

銀装騎攻オーディアン：リアルとスーパーロボットが交錯するSF世界

2000年、WOWOWにて放送された全24話のロボットアニメ『銀装騎攻オーディアン』。アニメーター、メカデザイナーとして名高い大張正己氏が監督を務め、高い評価を得た作品です。本作は、大張氏がテレビアニメシリーズ監督を務めた2作目であり、『VIRUS ‐VIRUS BUSTER SERGE‐』に続く挑戦となりました。

物語の舞台と展開

物語は、沖縄にある兵士養成機関「I.M.O（インターナショナル・ミリタリー・サーヴ・オーガニゼーション）」を主な舞台として展開します。前半は、ゲリラやテロリストとの戦闘をリアルロボット的な作風で描き、主人公・哉生優の成長と葛藤が中心となります。しかし、後半は北欧神話をモチーフに、「リメイク技術」を巡る科学者たちの因縁が物語の中心に浮上。メカニックデザインもスーパーロボット的な要素が強まり、物語のスケールは大きく変化します。

主人公と主要登場人物

主人公の哉生優は、高校を中退し荒れた生活を送っていた青年です。先輩の橘了に誘われ、I.M.Oに入隊します。優れたリムヒューガンの操縦技術を持つ優は、特例として入隊が認められます。チームメイトには、ドイツ人のウォルフ・エリクマイヤー、幼馴染の藍原ナンナ、謎めいたネル・マクマハウゼンらがいます。物語が進むにつれ、優たちの運命は複雑に絡み合い、予測不能な展開へと進んでいきます。

特に、ウォルフは一見穏やかな紳士ですが、物語の後半で隠された本性を露わにします。また、ネルは「黒き凶獣」を護るヤクト三姉妹の一人であり、優に対して特別な感情を抱いています。

I.M.Oの教官である哉生香織は、実は優の異母姉であり、物語の重要な鍵を握る人物です。また、I.M.O総司令である藍原章治は、リメイク技術の軍事利用を企むなど、複雑な思惑を抱えています。

さらに、物語には反米テロ組織「銅の血盟団」のリーダー、ベルチオ・ロナック・ポワルニーニなどの敵対勢力も登場します。ベルチオは、アメリカ軍の空爆で母と故郷を失った過去を持ち、復讐心に燃えています。

リメイク技術と世界の謎

物語の中核をなすのが「リメイク技術」です。これは、電位再生理論に基づき、データ化された脳の活動電位を現実世界に再現する技術であり、物体から人体の一部、そして人格データまでを再生可能とされています。この技術は、リガルド・デュールマイヤーによって開発され、哉生正樹によってさらに発展させられました。しかし、この技術には大きな危険と倫理的な問題が潜んでいます。

リメイク技術に関連して、「リメイカー」と呼ばれる存在も登場します。これはリメイク技術によって再生された受精卵から生まれた人間であり、優やウォルフ、ヤクト三姉妹などが該当します。

物語終盤には、「黒き凶獣」と呼ばれる存在と、「白き御使」と呼ばれる存在が対立します。「黒き凶獣」は、自らを電位化したリガルドであり、世界をリメイクしようとしています。「白き御使」は、電位再生計画により再生されたヒルダの電位媒体を取り込んだ存在です。この両者の対立が、物語のクライマックスを形成します。

メカニックデザインと戦闘シーン

『銀装騎攻オーディアン』の魅力の一つは、大張正己氏による独特のメカニックデザインです。主人公機であるオーディアンは、圧倒的な力と存在感を誇り、他のリムヒューガンとの戦闘シーンは見応え十分です。様々なタイプのリムヒューガンが登場し、それぞれの機体の個性と特徴が際立つ戦闘が繰り広げられます。

外伝コミック『銀装騎攻オーディアンORO』

本編と並行して展開する外伝コミック『銀装騎攻オーディアンORO』も存在します。こちらは、「絶対を招く者（アブソリュート・インバーター）」と呼ばれる賞金稼ぎ、ケヴィン・シュウ・オロバス・クロウを主人公とした物語です。本編では描かれなかった要素が描かれており、本編への理解を深める上で役立ちます。

まとめ

『銀装騎攻オーディアン』は、リアルロボットとスーパーロボットの要素を融合した戦闘描写、複雑に絡み合う登場人物たちの運命、そして高度な科学技術が織りなす物語世界が魅力の作品です。大張正己氏特有のメカニックデザインと、緻密に構成されたストーリーは、ロボットアニメファンだけでなく、SFファンにも広く支持される作品となっています。 また、外伝コミック『ORO』を読むことで、より深くこの世界観を堪能できるでしょう。

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