長崎西洋館

長崎西洋館の歴史と閉鎖の経緯

概要

長崎西洋館は、長崎県長崎市川口町に位置し、長崎電気軌道の子会社である株式会社ナガデンクリエイトが運営していた商業施設です。この施設は、もともと1978年から長崎電気軌道によって月極駐車場として利用されていた土地に建てられました。1990年11月30日に営業を開始し、地上3階、地下2階からなるユニークな建物構造が特徴でした。特筆すべき点は、内部に路面電車が通り抜けるトンネルがあり、日本の商業ビルとしてはこの構造が初めて導入されたことです。

この建物には、飲食店や輸入品を扱う店舗が入居しており、特にココス（西洋館店）が2008年にサンデーサンから転換したことで話題となりました。また、季節ごとにクリスマスをはじめとした様々なイベントが開催され、夜間には美しいイルミネーションで彩られることもありました。

さらに、3階には長崎路面電車資料館が設置され、路面電車に関する貴重な資料が展示されていました。ここではフリーマーケットやコンサートが頻繁に行われ、訪れる人々に多彩なエンターテインメントを提供していました。特に2011年には全日本プロレスの開催もあり、多くの観客を集めました。

場所

長崎西洋館は、長崎原爆の落下地点に近く、国道206号沿いに立地していました。また、南側には長崎電気軌道の原爆資料館電停が隣接しており、交通の便が非常に良い場所でもありました。

閉鎖と解体

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、テナントが次々と撤退していく状況が続きました。2022年6月には約30区画のうち約10区画が空き、最終的に2023年5月末に施設は閉鎖されることとなりました。長崎電気軌道は土地や建物の売却も検討しましたが、内部の路面電車の軌道については変更を行わない方針を示しました。

2023年8月には、JR九州が土地と建物を買い取り、本格的な解体工事が始まりました。2024年に入ると、解体現場の様子が人気番組『解体キングダム』で取り上げられ、特に路面電車が貫通するビルの解体という特異なテーマが視聴者の関心を引きました。そして、精道三川台高等学校の生徒たちが解体された建物の姿を150分の1サイズのジオラマに再現するなど、地域の歴史にも興味を持たれる場面が増えてきました。

長崎西洋館は、そのユニークな構造や歴史的背景から地域のシンボル的存在でしたが、時代の変遷とともにその役割を終えようとしています。

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