闇のパープル・アイ

『闇のパープル・アイ』は、篠原千絵による日本の漫画作品であり、1984年から1986年にかけて「週刊少女コミック」で連載されました。単行本は全12巻、文庫版は全7巻で刊行され、その人気は高く、第32回小学館漫画賞少女部門を受賞しています。1996年にはテレビ朝日系列でテレビドラマ化もされ、幅広い層に知られる作品となりました。

あらすじ

物語は、主人公である尾崎倫子が、自身が持つ特殊な能力によって日常が一変するところから始まります。倫子は、人から豹に変身する「変身人間」の血を引いており、その能力が覚醒したことで、平穏だった生活は一変します。彼女は、変身人間の存在を学界に認めさせようとする生物教師・曽根原薫子から執拗に狙われることになります。

曽根原は、目的のためには手段を選ばない冷酷な人物で、殺人や拷問も平然と行います。倫子は、自身の能力に苦悩しながらも、幼なじみで恋人の慎也や、もう一人の変身人間である小田切との間に生まれた娘・麻衣を支えに、曽根原との戦いを繰り広げます。物語は、倫子と麻衣、母娘二代に渡る曽根原との戦いを軸に展開していきます。

主要登場人物

尾崎倫子（おざきりんこ）

本作の第1部の主人公。私立白陽高校に通う16歳の女子高生で、ごく普通の女の子でしたが、紫色の瞳を持つ黄金の豹に変身する能力を持っています。変身人間としての痣は左腕にあります。

変身人間であるという事実や曽根原の執拗な追跡に苦しみ、何度も生きることを諦めかけますが、慎也や麻衣の存在が彼女の心の支えとなります。しかし、度重なる変身によって寿命が削られていき、最終的には慎也と麻衣を守るために、曽根原と共に崖から落ち、生死不明となります。その後、曽根原一族によってコールドスリープ状態で捕らえられ、操られる形で麻衣達と敵対しますが、最終的には麻衣と再会を果たします。しかし、コールドスリープによって寿命が近づいており、最後は慎也の遺体と共に炎の中で生涯を閉じます。

水島慎也（みずしましんや）

倫子の幼なじみで恋人。口は悪いが根は優しく、倫子や麻衣のことを第一に考えています。倫子が変身人間であることを知っても、その思いは変わりませんでした。第1部終盤で倫子と結婚し、麻衣の養父となります。

15年後には医者となり、独自に変身人間の研究をしています。普段は落ち着いた父親として麻衣や暁生に接していますが、麻衣に危険が及ぶと冷静さを失う一面もあります。曽根原に撃たれて命を落としますが、倫子への愛は最後まで揺るぎませんでした。

曽根原薫子（そねはらかおるこ）

白陽高校の生物教師。倫子たち変身人間を執拗に付け狙う、本作における最大の敵です。変身人間の研究に執着し、そのために人殺しも厭わない残忍な性格です。倫子にとっては、妹・舞子の仇でもあります。

倫子たち変身人間のことを人間として見ておらず、実験動物のように扱っています。倫子に対し、15年前に負わされた怪我から逆恨みを抱いており、執拗に彼女を追い詰めます。

小田切貢（おだぎりみつぐ）

紫色の瞳を持つ巨大な黒豹に変身する変身人間。麻衣の実父であり、フリーのジャーナリストです。変身人間の痣は左肩の後ろにあります。豹としてのパワーは倫子を圧倒するほど強力です。

倫子に「変身人間は普通の人間と暮らせない」と諭し、彼女を自分のものにしようと企みます。倫子を強姦して妊娠させますが、最終的には倫子と彼女のお腹の子を守るため、自爆という最期を迎えます。

水島麻衣（みずしままい）

第2部の主人公。小田切と倫子の間に生まれた変身人間の純血種で、慎也に養女として育てられます。黒髪のショートヘアが特徴的な活発な女の子で、抜群の跳躍力を持っています。変身人間の痣はありません。

純血種であるため、倫子たちにはない超能力を持っています。物語が進むにつれて従兄の暁生に信頼を寄せるようになり、相思相愛の関係となります。作中では一度も変身していませんが、感情が高ぶると瞳が紫色になります。

高階暁生（たかしなあきお）

紫色の瞳と銀色の鬣を持つ黒豹に変身する変身人間で、小田切の甥にあたります。麻衣とは従兄妹同士です。当初は一族のために麻衣を狙っていましたが、一族を裏切ってからは麻衣と行動を共にし、彼女を守るために戦います。度重なる変身で寿命を削っており、麻衣と共に生きることを決意します。

その他の登場人物

尾崎舞子（おざきまいこ）

倫子の妹。曽根原に人質として捕らえられ、猟犬に食い殺されてしまいます。彼女の死は、倫子が曽根原を明確な敵として認識するきっかけとなりました。

倫子の父

倫子と舞子の父親。変身人間とは関わりのない普通の父親ですが、倫子と舞子が立て続けに姿を消したことで憔悴します。

倫子の母

倫子と舞子の母親。物語開始の2年前に病死しており、回想シーンと写真でのみ登場します。変身人間の血は母親からの遺伝であるとされています。

曽根原教授

曽根原薫子の父親で、変身人間の研究をしていた元教授。学会から認められず、焼身自殺を図りますが、薫子に止められて大火傷を負います。倫子を変身人間のサンプルとして扱い、最後は小田切に殺害されます。

クラスメイト、不良グループ、用務員など

倫子の高校生活を彩るクラスメイトや、物語に彩りを加えるその他大勢の人物も登場します。

シバ、松浦浩介、神父

物語の中で倫子や慎也と関わる人々。

榊会長

変身人間の血を引く一族の代表で、麻衣を危険視して曽根原と手を組んで狙います。最終的には曽根原に裏切られ、命を落とします。

榊会長の秘書

暁生とは幼馴染。麻衣達の逃亡を手助けします。

水島先生

小説版オリジナルキャラ。慎也の叔父で、医者として倫子や麻衣をサポートします。

クローン暁生

小説版オリジナルキャラ。曽根原が暁生の遺伝子を元に作り出した生物兵器で、粗暴な性格です。

脚注

『宇宙船YEAR BOOK 1997』に参考文献として掲載。

外部リンク

e☆star（ドラマCD版公式サイト）

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