青幇

青幇（チンパン/せいほう）

青幇は中華民国時代に存在した秘密結社であり、その起源は水運業に従事していた水夫たちにさかのぼります。もともとこの結社は、大運河を利用して江南地方から北京への米の輸送を行っていた際、困難な航海を乗り越えるために結束した水夫たちによって形成されました。彼らは最初、漕幇と呼ばれ、後に青幇と名づけられました。この組織は、愛国的な要素を持ちながらも、当時の清朝政府に対し協力的であることを表明していましたが、実際には結社が禁止されていたため、政府からの警戒が強かったのです。これは、密売によって利益を得るために禁制品を運搬していたことが一因となりました。

アヘン戦争後、上海が開港され商業が発展する中で、多くの移民や流民が集まり、それぞれの出身地ごとに組織を形成しました。それにより、青幇は洪門と共に地下社会の支配層として力を持つようになり、上海の人口300万人のうち四分の一が両組織に属していたとされています。

組織の構成と主要人物

青幇の活動が活発化する中で、黄金栄、杜月笙、張嘯林の三人の頭目が際立ちました。特に杜月笙は組織の中でも若いながら大きな影響力を持ち、まるでゴッドファーザーのような姿勢で権力を築きました。1925年には自身の会社を設立し、アヘン市場の独占を狙い、1930年代には中国全土においてアヘンの流通を掌握しました。

杜月笙は当時の情勢をみながら国民党との連携を強化し、1927年の蒋介石との共闘によって上海クーデターで多くの共産党員を処罰しました。彼は南京国民政府成立に合わせて将軍の地位を得て、その後も商業活動を拡大しました。

一方で、日中戦争が進行し、日本軍が上海を占領すると杜月笙は逃亡しますが、張嘯林はそのまま残り、結果として暗殺されることとなります。戦後、杜月笙は上海に戻りますが、政府による取締りや社会情勢の変化により、かつての勢いは失われ、1949年の国共内戦による共産党の勝利後には台湾や香港に身を移しました。

周囲との関係と幇規

青幇は、アヘンなどの不法活動を通じて得た利益でその勢力を拡大しましたが、それに伴い数々の規約が設けられました。幇規や十大幇規では、倫理や道徳に反する行為を禁じ、いかなる形でも組織の名を汚すことを許さない姿勢が強調されていました。特に、他者を傷つけたり、あるいは組織を貶めるような行為は厳しく戒められました。

現代の青幇

1949年以降、青幇は台湾を中心に活動を続け、1993年には「中華安清会」を設立。2007年には組織の強化を目指して「中華安清総会」と改称しました。当時の盛況から比べるとその影響力は薄れましたが、今日でも台湾や香港にその名残が見受けられます。

青幇は多くのフィクションや芸術作品にも影響を与え、多くの漫画や小説にその姿が描かれています。特に、青侠（ブルーフッド）は秘められた青幇の真実を探る物語として知られています。

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