顕昭

顕昭（けんしょう）

顕昭は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した歌僧です。亮公（すけのきみ）、亮阿闍梨（すけのあじゃり）とも呼ばれました。

生涯

出生は1130年（大治5年）と推定されています。出自は明らかではありませんが、左京大夫藤原顕輔の養子となったことで、藤原姓を賜りました。

1141年（永治元年）には早くも和歌を詠み始め（『顕昭陳状』）、歌人としての才能を開花させます。1144年（天養元年）から1146年（久安2年）にかけては、比叡山において仏教の重要な論書である『倶舎論』を書写校合するなど、学問にも励みました。

1149年（久安5年）の山路歌合に出詠して以降、数十回に及ぶ歌合に参加し、歌人としての名声を確立していきます。歌合では、その才能を発揮し、多くの優れた歌を残しました。

1183年（寿永2年）には、『拾遺抄注』『後拾遺抄注』『詞花集注』『散木集注』『後撰集注』『金葉集注』『堀川百首注』といった注釈書を相次いで完成させ、守覚法親王に献呈しました。これらの注釈書は、当時の歌学の発展に大きく貢献するものとして高く評価されています。1185年（文治元年）には、『古今集注』を完成させ、これも守覚法親王に献呈しています。

1207年（承元元年）には、後鳥羽院から法橋位を許され、その才能を認められました。1209年（承元3年）の長尾社歌合に出詠した記録が、現在確認できる最後の事績となっています。

顕昭は歌人としてだけでなく、歌学の研究者としても、平安末期から鎌倉初期の歌壇において重要な役割を果たしました。彼の注釈書は、後世の歌学研究に大きな影響を与え、その功績は今日においても高く評価されています。

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