高取焼

高取焼について

高取焼は、福岡県朝倉郡東峰村や福岡市早良区高取などで作られている、約400年の歴史を持つ陶器です。県内でも有数の古窯として知られています。

歴史

高取焼のルーツは、1600年頃に福岡県直方市の鷹取山麓で開かれた窯に遡ります。朝鮮出兵の際、黒田長政が陶工の八山（日本名：八蔵重貞）を連れ帰り、作陶を始めたのが起源とされています。この初期の窯場は、永満寺・宅間窯、内ヶ磯窯、山田窯などがあり、「古高取」と呼ばれています。

江戸時代に入ると、高取焼は黒田藩の御用窯として繁栄しました。元和年間には、肥前国（現在の佐賀県、長崎県の一部）から唐津焼の陶工を招き、技術の向上を図りました。さらに寛永年間には、2代藩主の黒田忠之が茶人である小堀政一（遠州）と親交を深め、遠州好みの茶器を数多く焼かせました。このことが縁となり、高取焼は遠州七窯の一つに数えられ、茶陶の産地として名を馳せることとなります。この頃、白旗山窯を中心に焼かれた、遠州好みの洗練された茶器は「遠州高取」と呼ばれました。

その後、2代目の八蔵貞明が現在の東峰村に鼓窯を築き、より繊細な作品が作られるようになりました（小石原高取）。その後、福岡の大鋸谷へ移転（御庭高取）、18世紀には「東皿山」と「西皿山」に分かれ、細分化が進みました。

現在では、数カ所の窯元が各地に残っています。一度廃藩置県によって廃窯となった高取焼の直系（高取焼宗家）の窯場も、11代目高取静山の手により再興され、小堀遠州を流祖とする遠州茶道宗家から指導を受け、一子相伝で伝統が受け継がれています。

特徴

高取焼は、時代によって作風が大きく異なります。初期の「古高取」の中でも、「内ケ磯窯」の作品は、織部好みの豪快で大胆な意匠が特徴です。ロクロで成形した真円にヘラで歪みを加えるなど、現代的な視点から見ても芸術性が高く、興味深い作風です。しかし、その背後にある思想が原因で、御用窯としての役割を終えることになりました。

その後の「遠州高取」では、器の形が整い、古高取とは対照的に、洗練された風流な作品が作られるようになりました。「小石原高取」の時代になると、技術がさらに成熟し、「遠州高取」よりもさらに繊細な作風が特徴となっています。また、「小石原高取」は、民窯である小石原焼にも多少の影響を与えたとされています。

現代の高取焼は、「小石原高取」以降の技法を受け継いでおり、使用する釉薬も多種多様です。高取黄釉、春慶釉、高宮釉、道化釉、ふらし釉、真黒釉など、個性的な釉薬が用いられています。

現存する窯元

福岡県内には、以下の窯元が現存しています。

福岡市
高取焼味楽窯
高取焼楽山窯
直方市
高取焼内ヶ磯窯
高取焼永満寺窯
高取焼工房
筑紫野市
高取焼むさし窯
東峰村
鬼丸雪山窯元
高取八仙窯
高取焼元永陶苑
髙取焼宗家
圭秀窯
添田町
* 高取焼比古窯



高取焼は、その歴史と多様な作風、そして受け継がれる伝統が魅力の陶器です。

もう一度検索