Γ-ヒドロキシ酪酸

γ-ヒドロキシ酪酸（GHB）について

γ-ヒドロキシ酪酸（ガンマヒドロキシらくさん、英: Gamma-Hydroxybutyric Acid、略称: GHB）は、ヒドロキシ酸と呼ばれる化合物の一つであり、主に中枢神経系に対して抑制的な効果を持っています。この物質は自然界でも存在し、ワインや牛肉、小さな柑橘類などの食品に微量ながら含まれています。

GHBは、医療において重要な役割を果たす一方で、特定の国では違法ドラッグとして規制されています。特に、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、そして多くのヨーロッパ諸国では、ナルコレプシー、不眠症、またはうつ病といった病状の治療に用いることができ、医療用に認可されています。

医療用途と承認

GHBは2002年に米国の食品医薬品局（FDA）により、ナルコレプシーの治療薬として正式に認可されました。2012年時点では、アルコール依存症に対しても使用されています。治療の際には、プロドラッグ形式であるナトリウムオキシベート（商品名：Xyrem）として流通しています。この形式が医療現場で用いられることで、患者に対する適切な効果が期待されています。

規制と違法利用

近年、GHBは睡眠薬や脱法ドラッグとしての利用が増加しており、この背景から2001年11月25日以降、日本では麻薬指定されています。これにより、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づき、無資格者によるGHBの製造、輸入・輸出、所持などが全面的に禁止されています。この法律が施行されるきっかけとなったのは、GHBが持つ睡眠作用や性欲増強作用が、性犯罪に悪用される事例が目立ったためです。

また、GHBが海外製の媚薬に含まれることもあり、過剰摂取が引き起こす痙攣や意識障害といった健康被害が報告されています。2017年9月には、自宅での製造が原因で逮捕者が出るなど、社会問題化しています。

法的名称と誤解

GHBはその成分に基づき、法律において「四―ヒドロキシ酪酸」と呼ばれています。しかし、麻薬指定を受けた当初は、官報で「三―ヒドロキシ酪酸（別名GHB）及びその塩類」と記載されていましたが、この記載は完全に誤りでした。この誤解が指摘され、国会で訂正がなされた結果、現在では正確に「四―ヒドロキシ酪酸」と記されています。

このように、GHBは医療用途に於いては一定の効果が認められながらも、その薬理作用が違法利用される事態が続いており、社会での取り扱いが難しい物質となっています。今後の適切な利用と規制に向けた議論が重要です。

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