ΜClinux

μClinux(マイクロコントローラLinux)は、メモリ管理ユニット(MMU)を搭載していないマイクロコントローラ環境向けに特化したLinuxカーネルの派生プロジェクトです。μCは「Micro Controller」の略であり、その名前が示す通り、リソースが限られた組み込みシステムでの利用を主眼に置いています。従来のLinuxカーネルはMMUを前提としていますが、μClinuxはMMUを持たない環境でも動作するように設計されており、これにより、低コストで電力効率の高い組み込みデバイスでのLinuxの利用を可能にしました。

μClinuxの大きな特徴の一つは、FLATと呼ばれる独自のオブジェクト形式を採用している場合があることです。これは、従来のLinuxカーネルで用いられるオブジェクト形式よりも小さく、メモリやストレージ容量が限られた組み込み環境での利用に適しています。この最適化により、μClinuxはより多くの組み込みシステムで利用可能となり、幅広いアプリケーション開発をサポートしています。

サポートアーキテクチャ



μClinuxは、多様なアーキテクチャをサポートしており、様々な組み込みプロセッサ上で動作させることができます。現在サポートされている主なアーキテクチャは以下の通りです。

Freescale M68K (DragonBall, ColdFire, PowerQUICCなど)
ADI Blackfin
ETRAX
ARM (Sigma Designs DVDエンジンなど)
Intel i960
Xilinx MicroBlaze
MIPS (Brecisパーツなど)
Fujitsu FR-V
Altera NIOS

これらのアーキテクチャは、μClinuxが組み込みシステム開発において幅広い選択肢を提供していることを示しています。また、過去には以下のアーキテクチャもサポートされていましたが、現在はサポート対象外となっています。

NEC V850E (2008年10月9日付 revision 2.6.27 以降サポート対象外)
Hitachi H8 (h8300) (2022年7月31日付 revision 5.19 以降サポート対象外)

関連プロジェクトとリソース



μClinuxは、uClibcという軽量のCライブラリと密接な関係があります。uClibcはμClinuxのような組み込みシステム向けに最適化されており、システムのリソースフットプリントを小さく保つことに貢献しています。以下にμClinuxに関連する外部リンクを示します。

μClinux ホームページ Embedded Linux/Microcontroller Project: μClinuxの公式サイトのアーカイブです。
ucdot - forum for μClinux and Embedded Linux: μClinuxと組み込みLinuxに関するフォーラムです。
The μClinux Directory: μClinux関連の情報をまとめたディレクトリです。
μClinux guide, but little bit older doc.: μClinuxのガイドですが、やや古い情報が含まれています。
μClinux - Setting up the Development Environment: μClinuxの開発環境構築に関するドキュメントです。
Deeply Embedded Linux - A practical Example: 組み込みLinuxの実用例を紹介する記事です。
Getting started with μClinux: μClinuxの始め方に関する記事です。
μClinux 2.4.19 port for the Sony PSP: Sony PSPへのμClinux移植に関する情報です。
Document site for μClinux port on blackfin processor, but most of the docs are pretty common: BlackfinプロセッサへのμClinux移植に関するドキュメントサイトですが、多くの情報が他のプラットフォームにも共通です。
uClinux for H8/300 series Porting Project: H8/300シリーズへのμClinux移植に関するプロジェクトサイトです。
uClinux: WikipediaのμClinuxに関する記事です。

μClinuxは、組み込みシステム開発において、Linuxの柔軟性と低リソース環境での動作を両立させるための重要なソリューションです。その多様なアーキテクチャサポートと、活発なコミュニティにより、多くの開発者に利用され続けています。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。