★☆北区つかこうへい劇団

★☆北区つかこうへい劇団

劇作家として知られるつかこうへいが主宰した日本の劇団です。東京都北区に活動の本拠を置き、1994年4月にその歴史を開始し、主宰の逝去に伴い2011年7月に解散しました。

劇団の設立と活動

劇団は、1994年4月に東京都北区からの要請を受け、地域に根差した劇団として結成されました。劇団員はオーディションを通じて募集され、第3期生までが集まった1995年には、旗揚げ公演として『つか版・北区お笑い忠臣蔵』が上演されました。

主な活動の場は、北区内の劇場施設である北区滝野川会館（大ホール）、北とぴあ（つつじホール・さくらホール）、そして田端文士村記念館などでした。これらの場所を中心に、精力的に演劇活動を展開しました。

演劇公演だけでなく、次世代の育成にも力を入れており、演劇教室や児童教室を開設していました。また、1999年度からは「井上ひさし戯曲作法塾」という脚本家養成講座を運営し、2008年4月にはこれを「劇作家・演出家コース」と改称するなど、教育事業も積極的に行っていました。

劇団のレパートリーの大部分は、主宰であるつかこうへい自身の過去の作品や新作で占められていました。そのため、「★☆北区つかこうへい劇団」として完全にオリジナルの新作を創り上げる機会は、比較的少なかったと言えます。

独自の役職制度

劇団内には、つかこうへいが独自に定めたとされるユニークな役職や階級が存在しました。これらの呼称は、劇団員それぞれの劇団への貢献度や、つかこうへいからの期待度などに応じて与えられたと考えられています。かつては劇団の公式ウェブサイトでも紹介されていましたが、後に内部のみでの扱いとなりました。

〇期生: オーディションに合格し、レッスンを受ける段階にある劇団員を指しました。
純正劇団員: 1年目と2年目に行われる二度の試験を突破した者だけが名乗ることのできる、正式な劇団員でした。純正劇団員になると、レッスンが無料になるなど、その待遇は大きく変わりました。
The劇団員: 劇団内で最も高い地位とされ、公式ウェブサイトには最終的に5人のみ掲載されていました。これは不動の地位と見なされていましたが、後に当時若手であった踊場英佑のみが小文字の「the劇団員」という表記を使用した例もあります。この地位の選考基準については、演出への関与、ベテランであること、主役級の活躍、あるいはつかこうへい個人の評価などが関連していると推測されますが、明確な基準はつかこうへい自身のみが把握していたとされています。
タキシード枠?: これは正式な役職というよりも、功労や業績に対する一種の褒美であったようです。ある程度の活躍をした劇団員には、つかこうへいからタキシードが贈られたという話が伝わっています。

解散とその後の展開

劇団の活動は、2010年7月につかこうへいが逝去したことにより大きな転換点を迎えました。これにより、同年8月に予定されていた公演『新・蒲田行進曲』は中止となり、以降の公演スケジュールも白紙状態となりました。

劇団の今後について、北区文化振興財団との間で協議が重ねられました。その結果、2011年2月9日に、同年5月から7月にかけて行われる連続公演をもって劇団を解散することが正式に決定しました。

劇団の解散後、所属していた俳優たちの有志が集まり、新たな演劇集団「★☆北区AKT STAGE」を同2011年7月に設立しました。この名称における「AKT」は、「After Kohei Tsuka（つかこうへいの後に）」という意味と、「Act（演技・活動）」を掛け合わせたものです。

輩出された人材

「★☆北区つかこうへい劇団」は、解散時の所属俳優リストに見られるように、多くの俳優が所属していました。また、その歴史を通じて、多数の演劇人や多様な分野で活躍する人材を輩出しました。

著名な出身者としては、神尾佑（鈴木祐二）、石原良純、小西真奈美、内田有紀、小池栄子（レッスン生として参加）、黒木メイサ、黒谷友香、黛英里佳といった俳優陣、そして成河（チョウ・ソンハ）のような舞台を中心に活躍する俳優がいます。また、劇作家・演出家コースや戯曲作法塾からも、秦建日子や羽原大介など、後に脚本家や映画監督として名を馳せる人物が巣立っています。

このように、「★☆北区つかこうへい劇団」は、つかこうへいの創作活動の拠点であると同時に、多くの才能を育て、日本の演劇界やエンターテイメント業界に多大な影響を与えた劇団と言えるでしょう。

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