「ニセ医学」に騙されないために

書籍紹介: 『ニセ医学に騙されないために』

概要

『ニセ医学に騙されないために』は、NATROM名義で発表された健康に関する書籍で、2014年にメタモル出版から初版が刊行されました。著者は自ら内科医だと名乗っていますが、彼の情報元には専門的な論文が多く、内容の信頼性を重要視した作品です。2018年には、名取宏というペンネームで新装版が内外出版社から登場しました。初版では「危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る！」が副題でしたが、新装版では「科学的根拠（エビデンス）をもとに解説」が副題とされています。

NATROMはインターネット上で健康情報を発信してきた人物で、著作を通じて読者に考える力を養うことを目的としています。彼は、医学の体裁をとるが実際には医学でないものである『ニセ医学』の存在を警告しており、その曖昧な境界線についても触れています。著者はこのテーマについて慎重に議論を進めており、特に「ニセ医学」とされるものがなぜ危険であるのかを具体的に示しています。

内容

本書は科学的根拠に乏しい主張を30項目取り上げ、それぞれを批判的に解説しています。NATROMは主に、抗がん剤やワクチンに対する否定的な見解や、ホメオパシーなどを指摘しています。彼はこれら「ニセ医学」が広まることで、患者が受ける不利益についても深く考えています。そして本書を通じて、特にマスコミや政治家たちに対して、その影響力を意識してほしいとの思いを込めています。

著者は、最初にメタモル出版から執筆依頼のメールを受け取った際、詐欺的な出版社によるスパムだと考え、無視していました。しかし、同社から紹介された書籍の内容を読み、彼らが真摯に良書を世に出そうとしていると気づき、その後執筆を決意しました。この経緯からも、NATROMの目的がいかに真剣であるかが伺えます。

評価と反響

本書は多くのメディアで取り上げられ、医療に関する正確な情報の重要性について強調されています。西日本新聞は易しい文章で医学的な知識を伝える良書として評価し、毎日新聞は誤った情報がもたらす危険性を明確に指摘しているとの感想を述べています。また、荻上チキが朝日新聞での書評で語ったように、著者は単に批判するだけでなく、ニセ医学を信じる人々の立場にも配慮しており、それが本書の魅力となっています。

また、月刊誌『きょうの健康』は、「ニセ医学」の実態をわかりやすく解説しており、医療従事者に正確な情報を発信することの必要性が強調されています。そして著者名がNATROMであることが新たな読者を遠ざける要因になるのではないかという意見もあり、今後の普及活動への注意喚起にもつながっています。

まとめ

『ニセ医学に騙されないために』は、ただの健康本ではなく、科学と医療に関する深い洞察を提供する重要な一冊です。NATROM（名取宏）は、読者に信頼できる情報を基に、自らの健康を守るために考えるきっかけを与えてくれます。読むことで得られる知識は、私たちの日常生活に役立ち、健康リテラシーを高める手助けになるでしょう。

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