「Yes」と答えて

桂銀淑「Yes」と答えて」

1997年7月16日、日本の音楽市場において、歌手・桂銀淑（けい・うんすく）の通算17枚目となるシングル、「Yes」と答えて」（読み：イエスとこたえて）が発売されました。この作品は、トーラスレコードよりリリースされ、桂銀淑のその後の活動においても記憶されるであろう、いくつかの注目すべき側面を持つ楽曲を収録しています。

リリース時のアーティスト名義

本作のリリースにあたり、桂銀淑のアーティスト名表記に変化が見られました。前年の9月に発売されたシングル「愛ひとつ 夢ひとつ」以降、「ケイ・ウンスク（桂銀淑）」という名義が一時的に用いられていましたが、「Yes」と答えて」からは、デビュー以来多くのファンに親しまれてきた本来の「桂銀淑」という表記に再び統一されました。この名称の変更は、リリース当時、ファンや音楽関係者の間で話題となったポイントの一つです。

新たな作曲家との出会い

このシングルにおいて特筆すべきは、楽曲制作陣に日本の演歌・歌謡曲界で広く知られる作曲家、弦哲也氏が初めて迎えられたことです。弦氏はこれまで数々のヒット曲を生み出してきましたが、桂銀淑の楽曲を手がけるのは本作が最初となりました。このコラボレーションは、桂銀淑の歌声に弦哲也氏ならではのメロディーが組み合わされることで、従来の作品とは異なる新たな音楽的可能性を示唆しました。作詞は、桂銀淑の代表曲を多数手がけている荒木とよひさ氏、編曲は川村栄二氏が担当し、実力派のクリエイターたちが集結しています。

チャート成績と有線での広がり

「Yes」と答えて」は、発売後に日本の音楽チャートであるオリコン・シングルチャートにランクインしました。最高順位は76位と、商業チャートの上位に食い込むほどの派手さはありませんでしたが、このシングルの真価はその後の推移にあります。発売週から連続して14週間にわたり、オリコンチャートの100位圏内に留まり続けたのです。これは、瞬間的な売上ではなく、時間をかけて多くのリスナーに支持され、息の長いヒットとなったことを示しています。特に、有線放送でのオンエア回数が多く、有線を通じて楽曲が広く浸透し、根強い人気を獲得したことが、長期にわたるチャートインに繋がった主要因と考えられます。

ジャケット写真の担当者

シングルのパッケージを彩るジャケット写真は、国際的にも評価の高い写真家、藤井秀樹氏が撮影を担当しました。藤井氏の感性によって切り取られた桂銀淑の姿が、楽曲の世界観を視覚的に表現しています。

収録曲一覧

本シングルには、以下の2曲が収録されています。

「Yes」と答えて」
作詞: 荒木とよひさ
作曲: 弦哲也
編曲: 川村栄二

悲しみはロシアから
作詞: 荒木とよひさ
作曲: 弦哲也
編曲: 川村栄二

両曲とも、荒木とよひさ氏と弦哲也氏による制作であり、シングル全体を通して一貫したテーマ性や音楽性が感じられます。

まとめ

1997年にリリースされたシングル「Yes」と答えて」は、アーティスト名表記の回帰、著名な作曲家・弦哲也氏との初めての共同作業、そしてオリコンチャートにおけるロングヒットと有線での支持という多角的な側面を持つ作品です。商業チャートの最高位以上に、楽曲が時間をかけて広く浸透し、多くの人々に聴かれ続けたという点で、桂銀淑のキャリアにおける重要な一歩を記したシングルと言えるでしょう。

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