『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

サカナクション - 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

サカナクションの楽曲『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』は、2011年6月28日にリリースされたシングルであり、同バンドの5thアルバム『DocumentaLy』からの先行シングルとして発表されました。フロントマンである山口一郎によって制作され、エレクトロ、ダンスミュージック、オルタナティブロックの要素を融合した独特な音楽性が特徴です。

楽曲の構成

この楽曲は、4つ打ちをベースにした軽快なビートで構成されており、ダンスサウンドで展開されるファーストコーラスから、バンドサウンドへと変化するセカンドコーラスへと展開します。特に、セカンドコーラス後のブレイク部分では、楽曲タイトルにもなっているバッハの『チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV.1052』の第1楽章の旋律がフィーチャーされており、キーボーディストの岡崎英美によって演奏されています。歌詞は山口一郎が「日本らしさ」を意識して書き下ろし、Aメロには詩吟、サビには昭和歌謡の要素を取り入れています。

制作の背景

山口一郎は、この楽曲のタイトルについて「ちょっと気になるっていうところを狙ってみたくて」つけたものだと語っており、自身の好きな日本文学にも通じるものを感じているそうです。シングルのアートワークはデザイン集団Hatosが手がけ、ドイツでデザインされました。ジャケット写真は、山口の自宅での一場面を写したもので、楽曲タイトルのドイツ語訳が組み合わされています。

批評家からの評価

この楽曲は、音楽評論家から賛否両論の評価を受けました。サウンド、リズム、メロディといった様々な要素をシンプルに凝縮してまとめた点を評価する声がある一方で、楽曲のエモーションや爆発力が不足していると指摘する批評家もいました。

チャート成績

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』は、日本のフィジカル、ダウンロードチャート双方にチャートインし、RIAJ有料音楽配信チャートでは最高位30位を記録しました。

ミュージック・ビデオ

田中裕介が監督を務めたミュージック・ビデオは、「ねじれていく世界」が描かれたエンターテインメント性と芸術性を追求した作品です。山口本人と4体の分身「山口人形」によるダンスや、女優の麻生久美子演じる女性とのラブシーンが展開されます。山口一郎は、このビデオについて「クラフトワークっぽい」と述べており、真面目に芸術に見せることでエンターテイメント性を高める試みだと説明しています。

このミュージックビデオは、スペースシャワーTV主催のビデオクリップの祭典「SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS」において、年間の最優秀作品に与えられる大賞「BEST VIDEO OF THE YEAR」を受賞しました。

ライブ・パフォーマンス

サカナクションは、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』を2011年のコンサート・ツアー『SAKANAQUARIUM 2011“ZEPP ALIVE”』で初披露し、『ミュージックステーション』や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『SWEET LOVE SHOWER』などの音楽番組やフェスでも演奏しています。2013年以降はリミックスバージョンで演奏されることが多くなっています。

まとめ

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』は、サカナクションの音楽的な実験精神と、日本の音楽シーンにおける独自の存在感を示す楽曲と言えるでしょう。エレクトロとロックの融合、文学的な歌詞、前衛的なミュージック・ビデオなど、多角的な魅力を持つ作品です。

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