『幽』文学賞

『幽』文学賞 (ゆうぶんがくしょう)

『幽』文学賞は、株式会社KADOKAWAが主催する怪談文芸に特化した新人文学賞です。従来は『幽』怪談文学賞として2006年に誕生し、怪談専門誌『幽』に掲載される作品を認める形で年に一度公募されていました。2015年に第10回をもってその幕を閉じるまで、多くの作家たちに作品発表の場を提供し、コミュニティを形成してきました。

概要・沿革

この賞は、怪談文芸を専門に取り扱う文学賞であり、特に怪談に関する新しい才能を発見することを目的としていました。最初の募集要項は『幽』第4号に掲載され、その後毎年新しい作品が求められました。応募作品には長編と短編の二つの部門があり、受賞作は『幽』誌上で発表されました。

受賞者には正賞として製作者・天野行雄によるオリジナル青行灯と、長編部門の大賞には30万円、短編部門には20万円の副賞が贈られました。この青行灯は、毎年受賞作のテーマに合わせて一つ一つ手作りされるユニークな作品です。

特に長編部門で大賞を受賞した作品は、幽ブックスから単行本として出版され、短編部門の受賞作は『幽』に掲載されることとなっていました。ただし、最終回の短編賞を受賞した「やみ窓」（篠たまき）のみは『幽』に掲載されませんでした。

第1回から第8回まで使用されていた名称は『幽』怪談文学賞でしたが、第9回からは『幽』文学賞に改称されました。賞の主催者についても、初期の頃はメディアファクトリーのダ・ヴィンチ編集部が担当し、次第にKADOKAWAに移行する形となりました。

選考委員

『幽』文学賞の選考には名立たる文学者が委員として参加しており、過去には岩井志麻子や京極夏彦、高橋葉介、南條竹則、東雅夫などがその名を連ねていました。また、木原浩勝は第1回から第5回まで委員を務めました。

このような著名な作家たちによる選考は、受賞作の質を保証し、多くの読者に支持されることに繋がっていました。

受賞作一覧

この文学賞は、多くの優れた作品を世に送り出し、怪談文芸の発展に貢献しました。受賞作の多くは、当時の日本における怪談の潮流を反映し、その後の作家たちにも影響を与えることとなりました。文学賞の期間中に受賞した作品は、怪談愛好者や一般の読者にとっても記憶に残る存在になっています。

終わりに

『幽』文学賞の活動は、怪談文学の新たな可能性を切り開くものだったと言えるでしょう。閉幕から数年が経った今も、その影響は感じられ、怪談文芸への関心が続いていることは、非常に喜ばしいことです。

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