あくび指南

あくび指南（あくびしなん）

『あくび指南』は、古典落語の魅力ある演目の一つで、主に四代目柳家小せんなどが演じることで知られています。この話は、単なるあくびの稽古を題材にしながらも、登場人物たちの滑稽なやりとりが繰り広げられ、観客に笑いを提供します。別名『あくびの稽古』とも呼ばれ、ユニークな展開が特徴です。

あらすじ

物語は、八五郎が友人の熊五郎と出会うところから始まります。熊五郎は今から芸の稽古へ向かおうとしており、一緒に来ないかと誘います。しかし、熊五郎は過去にさまざまな習い事をしてきており、歌の稽古をすると長屋の植木が腐ってしまったり、踊りの練習をすると空に円盤が現れたりと、いつも何かしら事件を引き起こしてきた経歴があります。そのため、八五郎は最初は誘いを断りますが、あくびを習うというなんとも珍しい内容に興味を引かれ、結局は見学に行くことにします。

芸の先生のもとで始まるあくびの稽古ですが、一番やさしいはずの夏のあくびの内容でさえ、八五郎が目にしたところ、内容は意外に難しそうです。やり方としては「お～い…船頭さん…」といった具合に、非常に長い独白が続きます。このような内容に悪戦苦闘する熊五郎ですが、特に「遊郭」のくだりに差し掛かると、毎回脱線を繰り返してしまい、そのたびに先生から呆れられ、辛辣な言葉も投げかけられます。ついには怒って帰ろうとする熊五郎ですが、この時、居眠りをしていた八五郎がいたことに気づきます。

八五郎は熊五郎の苦労を見ても感想がなく、半ば八つ当たり的に、「俺は見てるだけなのに、退屈でたまらん！」とあくびを一発かきます。これを見た先生は、「あれ？お連れさんの方が器用ですね」と驚きます。このやりとりが、コミカルな毛色を醸し出し、観客を引き付けます。

その他の情報

また、2015年8月30日放送の『笑点』では、林家木久扇・木久蔵親子がこの演目のパロディである『スーパースター指南』を披露しました。演目の終わりには、木久扇の2人の孫が登場して『ミネソタの卵売り』を歌っており、バラエティ豊かな演出が楽しめました。

このように『あくび指南』は、単純なあくびの稽古を通じて、登場人物たちの人間関係やコミカルな出来事を見せつけることで、観客に笑いをもたらす素晴らしい作品です。

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