あさぴー号

尾張旭市営バス「あさぴー号」は、愛知県尾張旭市が主体となり運行している地域密着型のコミュニティバスです。市民の日々の移動手段として利用されており、その具体的な運行業務は豊栄交通に委託されています。正式名称は「尾張旭市営バスあさぴー号」といいます。

運行概要

あさぴー号は、年末年始にあたる12月29日から1月3日までの期間を除いて、ほぼ毎日運行しています。誰もが気軽に利用できるよう、運賃体系は非常にシンプルで、1回の乗車につき大人・小児問わず100円均一となっています。支払いは現金のほか、回数券や定期券も利用可能です。ただし、manacaをはじめとする一般的な交通系ICカードには対応していませんので注意が必要です。

歴史

あさぴー号の歴史は、2004年 12月1日に「尾張旭市公共交通」として試験運行が開始されたことに始まります。当初は、市域をカバーする西、東、南の3つのルートが設定されていました。

試験運行期間中の2005年 8月1日には、より多くの市民のニーズに応えるため、経路の一部変更が行われました。この変更により、地域の中核医療機関である愛知医科大学病院への乗り入れが実現し、さらに名古屋方面へのアクセスを考慮して、名古屋市営バス（幹藤丘1号系統）との接続地点である「本地住宅前」停留所が新たに設けられました。

2006年 8月7日には、南西ルートが新設されましたが、その後、より効率的な運行を目指して西ルートに統合されています。また、この時期に回数券の発売が開始され、利用者の利便性が向上しました。

運行形態や車両も見直されました。2007年 12月5日には、利用者の増加に対応するため、西ルートと東ルートで使われる車両が、それまでの定員の少ないワゴン車からマイクロバスへと変更されました。この車両変更と同時に、市民から募集された愛称が決定し、「あさぴー号」として親しまれることになりました。

試験運行での実績と市民からの評価を受け、2008年 4月1日からは本格的な運行へと移行しました。さらに同年10月1日には、運行ルートの大規模な再編が行われ、それまでの4つのルート（西・南西、東・南）を、それぞれ「西ルート」と「東ルート」の2つの主要なルートに統合しました。この再編では、経路を環状化し、右回りと左回りの双方向で運行する方式が採用され、市内各方面へのアクセス性が強化されました。

近年では、2016年 4月1日に運行内容が一部変更されました。この変更でダイヤ改正が実施され、それまで運休だった日曜・祝日を含め、土曜日や休日にも運行されるようになり、市民の外出機会が広まりました。また、通学や通勤など日常的に利用する方向けに、全ルートで利用できる定期券の発売も開始されました（1ヶ月あたり3,000円）。この変更に合わせて、車両も6台に増強され、そのうち4台には新たなデザインが施されました。

主な路線

現在、あさぴー号は主に以下の2つのルートで運行されています。いずれのルートも、尾張旭市役所を中心に市内を循環する形態をとっています。

西ルート: 尾張旭市役所を起点・終点とし、旭前駅、晴丘、本地ヶ原、印場駅、旭労災病院、旭前駅北、城山公園、尾張旭駅などを経由して市役所に戻るルートです。市の中西部を中心に、主要な鉄道駅や公共施設、医療機関などを結んでいます。
東ルート: こちらも尾張旭市役所から出発し、尾張旭駅、旭ヶ丘運動広場、旭台西、三郷駅北、狩宿町、愛知医科大学病院、晴丘などを経由して市役所に戻るルートです。市の東部方面、特に住宅地や愛知医科大学病院へのアクセスを担っています。

両ルートともに、右回りと左回りの双方向で運行されているため、利用者は目的地へのアクセスがより便利な方向を選択することができます。

車両

あさぴー号の運行に使用されている車両は、主に三菱ふそう製のマイクロバス「ローザ」です。これらの車両は、あさぴー号専用のデザインが施されており、市民に親しみやすい外観となっています。また、利用者の万が一の事態に備え、安全対策として全ての車両に自動体外式除細動器（AED）が搭載されています。

あさぴー号は、これらの車両を用いて、尾張旭市における重要な公共交通機関として、市民の生活を支えています。

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