あじさい (人工衛星)

あじさいについて

あじさいは日本が開発した測地実験衛星であり、高精度な位置測定を目的としているこの衛星は、1986年8月13日にH-Iロケットで打ち上げられました。導入時の名称は測地実験機能部（EGP）で、川崎重工が開発を担当した初の人工衛星でもあります。この衛星は、太陽光の反射を利用した方向測定と、地上とのレーザー距離測定を行うことで、測地業務に貢献しています。

打ち上げ経緯

あじさいは、日本初の人工衛星の打ち上げとして重要な位置付けを持ちます。1986年8月13日、午前5時45分に種子島宇宙センターから打ち上げられ、同機は南米上空でスピンを与えられた後、午前6時44分21秒に無事に分離・軌道投入されました。投入されたのは、約1500kmの高度を持つ円軌道で、傾斜角は約50度でした。この軌道は、衛星に搭載された各種機器が業務を行うための最適な位置となっています。

構造と機能

あじさいの形状は直径約2.15mの球体で、内部にスピン安定方式を採用した多面体構造を持っています。スピンレートは約40rpmで、質量は685.2kgです。衛星はスピンテーブルにより動きを付与され、その後は角運動量の保存によりこのスピンが維持されています。特筆すべき点は、電源装置やスラスタが搭載されていない点であり、全ての機能がパッシブに動作しています。

スピンレートは、地球の磁場との相互作用により徐々に減少します。この減少を抑えるため、設計時には低導電性の材料が多用されています。当初の予測ではスピンが半分になるまで約72年が見込まれていましたが、実際の減衰率はそれよりも早く、約30年で半減する可能性が指摘されています。これは、輸送と運用の結果に基づいたもので、実測値から新しい数式も得られています。

構体系の詳細

あじさいの構体は、ガラス繊維強化プラスチック（GFRP）製で、非常に高い剛性を確保。これにより、光学系の精密な取り付けや部品同士の接触防止が可能になっています。この高精度が必要な理由は、最大3000km離れた位置からの高精度測距が求められるためです。

レーザ反射系と太陽光反射系

あじさいには、120組のレーザ反射体が搭載されており、これらは高精度なレーザー測距を可能にします。加えて、318枚のアルミニウム蒸着鏡面が設置されており、太陽光を反射する役割を担っています。これらの反射面は厳しい条件を満たす必要があり、特に耐振動性や環境耐性が要求されています。最終的には、アルミニウム合金6061-T651を用いた材料が選ばれ、高い反射率を得ています。

現在の運用状況

あじさいは打ち上げから数十年が経過した現在も活発に運用中であり、測地データの収集や分析に寄与し続けています。日本の地理的データ網や海洋測地網の確立に貢献しているため、引き続き重要な役割を果たしています。今後もその測定技術が、さまざまな研究や産業に活かされることが期待されています。

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