H-Iロケット

H-Iロケットについて

H-Iロケットは、日本の宇宙開発事業団（NASDA）と三菱重工業が共同で開発した人工衛星打上げ用の液体燃料ロケットです。このロケットは、N-IロケットとN-IIロケットの後継として位置づけられています。名称に含まれる「H」は、水素の元素記号に由来し、第2段に液体水素を使用していることを示しています。

概要と開発の背景

H-Iロケットは、アメリカのデルタロケット技術を部分的に取り入れる形で開発されました。これにより、国産の部品を多く使用することができ、技術的な自立を促進しました。第1段はデルタロケットの技術を基にしていますが、第二段と第三段のロケットや慣性誘導装置は国産化されており、H-Iロケットの国産化率は78%から98%に達しました。

1981年に開発が開始され、1986年8月13日に試験機の打ち上げに成功しました。その後、1992年までの間に合計9機が打ち上げられ、全て成功を収めました。H-Iロケットは、実用静止衛星の打ち上げを行い、複数衛星の同時打ち上げ技術も確立しました。

開発計画の背景

H-Iロケットの開発は、1975年に遡ります。この当時のNロケットでは打上げ能力が不足しており、次世代のロケット開発が求められました。目標は、500から800kgの人工衛星を静止軌道へ打ち上げることでした。これには、自主技術を用いることが原則であり、また約10年以上の運用が可能なものを想定していました。

開発過程では、第1段の構成についての議論も行われました。新たに開発するか、既存のN-IIの流用をするかが問題となり、最終的にはN-IIの第1段を使用しつつ、500kg級のH-IAを開発するという方針が決まりました。さらに、H-IBも計画される予定でしたが、2トン級の静止衛星の需要が高まる中で、開発はH-IIロケットへと進化しました。

H-Iロケットの構成と諸元

H-Iロケットは、3段式の液体および固体ロケット構成を持ちます。第1段にはMB-3-3型エンジンが使用され、推進剤としてケロシンと液体酸素を利用しています。第2段はLE-5型の液体ロケットエンジンで、液体酸素と液体水素を推進剤にしています。このエンジンは再着火能力も持っています。また、国産の固体ロケットモータであるUM-129Aが第3段に搭載されています。

打ち上げ実績

H-Iロケットは、数多くの打ち上げ成功を収めています。代表的な衛星には、気象衛星の「ひまわり」や通信衛星の「さくら」が含まれます。これにより、日本は自国の宇宙技術を更に向上させることができました。

H-IBロケットの計画

H-IBロケットは、H-Iロケットの後継として開発が検討されましたが、最終的にはH-IIロケットの開発へと移行しました。これにより、より高度な静止衛星打ち上げ能力が追求されることとなります。

H-Iロケットの技術は、次世代のロケット技術の礎となり、今日の宇宙開発に多大な影響を与えています。実物大展示模型は宮崎科学技術館に設置されており、この偉大な技術の証として多くの人々に親しまれています。

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