あすか (テレビドラマ)

連続テレビ小説『あすか』

『あすか』は1999年10月4日から2000年4月1日まで放送された、NHKの連続テレビ小説第61作目であり、大阪で制作された20世紀最後の作品です。このドラマは、奈良県の明日香村と京都市を舞台にし、主人公・宮本あすか（演：竹内結子）が和菓子職人の道を歩む姿を描いています。物語は、彼女の父親を追いかけて和菓子作りの世界に足を踏み入れるところから始まります。

あすかは、バブル景気に沸く時代の中で、経営の失敗や幼馴染との結婚を経験し、故郷で新たに和菓子を作り上げるために再起を図ります。その人生の軌跡は約40年にわたり、多くの試練や成長を描き出しており、視聴者に感動と共感を与えました。最終回では、テレビの放送時間に合わせて物語の時間軸が同期し、テロップが表示されるというユニークな演出もあり、視聴者の記憶に強く残る形となりました。

本作の中では、「インターネット」という言葉が初めて登場した朝ドラとしても注目されています。また、奈良県を主な舞台とした作品は『都の風』以来のことで、地域に密着した物語が展開されました。オープニングテーマは、オーボエ奏者の宮本文昭がフィーチャーされ、大島ミチルが作曲した『風笛（かざぶえ）』が使われます。この曲は、ドラマ終了後に発売されたイージリスニングアルバム『image』に収録され、多くの人々に親しまれることとなりました。

毎回のエンディングでは、語り役の有馬稲子による「続きはまた明日」や「続きはまた来週」といったセリフで締めくくられ、観る者に明日の続きが楽しみになるような余韻を残しました。その一方で、特別な回ではセリフが無かったり、異なる締め方をするなど、ドラマ全体に変化を持たせる工夫がなされました。

ドラマには、老舗和菓子店「扇屋一心堂」やその看板商品の「おかめまんじゅう」が登場しますが、これらの要素は次作品『オードリー』にも登場し、シリーズ間のつながりを示しました。『あすか』の平均視聴率は24.4%、最高視聴率は27.6%を記録し、話題作として多くの人々に支持されました。

さらには、2005年3月から9月にかけて再放送され、2006年には全話を収めたDVDが発売されました。また、2013年からはNHKオンデマンドで過去の総集編が配信され、視聴者が再び物語に触れる機会を提供しました。

2022年現在、奈良県を舞台とした新作はこの作品以降なく、関西圏では新たな舞台設定から最も遠くなっています。『あすか』の影響は今なお色あせることなく、多くのファンの心に続いています。このドラマの登場人物たちの深い人間関係やそれぞれの成長を通じて、視聴者は和菓子職人という職業の魅力や、家族の絆を再認識することができました。

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