あぶらだこ

あぶらだこ

あぶらだこは、1983年に誕生した日本のロックバンドで、現在も活発な音楽活動を行っています。結成以来、彼らはさまざまなメンバーの交代や活動休止を経ながらも、独自の音楽スタイルを主張し続けています。メンバーは、長谷川裕倫、大國正人、小町裕、伊藤健一の四人で構成されていますが、彼らは全員がそれぞれの職業を持ちながらの活動となっています。このため、ライブや新作の発表は不定期となることが多く、ゆったりとしたペースでの活動が特徴的です。

バンド名の由来は、長谷川がアルバイトしていたゲームセンターの店長が、怒ると油ぎって蛸のようになることから名付けられたというエピソードが残っています。彼らの前身となるバンド「変態クラブ」は1981年に結成され、長谷川とボーカルの和泉明夫がギターとボーカルを担当していました。初期のあぶらだこは、ADKレーベルのもとハードコア・パンクのシーンで一躍知られる存在となりましたが、彼らの音楽には独特のユーモアと構築性がすでに見られました。

特に、イズミのノイジーなギターやマルの力強いドラム、ヒロトモの歌声は交錯し、緻密なサウンドを生み出しています。1stアルバムのリリース以降、マルの脱退を皮切りにハードコアの要素は徐々に薄れ、音楽スタイルは変化を遂げます。また、その後吉田達也がサポートメンバーとして参加し、彼の影響もあり音楽に性急な展開とリズム変化が加わるようになりました。

楽曲の特徴は、長谷川の個性的なヴォーカルと、現代詩を思わせる複雑な歌詞が相互に呼応し合っています。アンサンブルは自由詩的なリズムに基づいて構成されており、変拍子やポリリズムを取り入れることで、楽曲は過剰なまでに多様な展開を見せています。近年は初期の攻撃的なスタイルは影を潜め、プログレッシブ・ロックや環境音楽、現代音楽などの幅広いジャンルを内包する音楽性が形成されています。そのため、一般的な感覚では一聴しただけでは理解しがたい音楽が広がっています。

あぶらだこは、2009年に行った「二十六周年ワンマン」を最後にライブ活動を行っておらず、実質的に活動休止状態となっています。しかし、メンバーはそれぞれのプロジェクトで音楽活動を続けています。具体的には、長谷川裕倫は内田静男とのユニット「長谷川静男」や、バンド「kito-mizukumi rouber」での活動を行っており、大國は同じく「kito-mizukumi rouber」での演奏を続けています。また、小町は2009年に結成したバンド「D・O・T」で活動しており、現在は療養をしながらの復帰を目指しています。

以上のように、あぶらだこは独自の音楽スタイルと活動で知られています。彼らの作品は、いずれも『あぶらだこ』としてリリースされ、それぞれのアルバムには特有のアートワークが施されています。彼らの音楽とメンバーの動向からは、今後どのような展開が待っているのか興味深いところです。

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