あまき

あまきの歴史と役割

あまきは、鳥羽商船学校において1916年から1925年に使用された練習帆船です。この船は、当時の船舶職員法に基づき、甲種商船学校の航海科を卒業するためには、一定の期間帆船での実習が必須とされていたため、重要な役割を果たしました。鳥羽商船学校は、町から県立に移管される際、独自に練習船を持つ必要が高まっていましたが、財政的な問題により、練習船の運用は高等船員のみが県職員となり、船舶の維持と運航は民間の海運業者に委託されることとなりました。

船歴

あまきの進水は1916年9月で、翌年の1月には竣工を迎えました。その後、初めての練習航海が1917年から1918年にかけての大6N航海で実施され、横浜からマーシャル群島までの航路が選ばれました。そして、1918年から1919年にかけて続けられた練習航海は、学生たちの航海技術を実地で学ぶ貴重な機会となりました。

1919年以降も訓練は続きましたが、1920年から1922年にかけては委託先の南洋興業株式会社の経営不振の影響を受け、練習航海を中止せざるを得ませんでした。再び航海が行われるようになったのは、1922年に富山県高岡市の萩布宗四朗との契約により、運航が再開されたからです。この年から1923年にかけて、大11N及び大12Nの練習航海が行われました。

1924年から1925年にかけては、大13N航海が実施されましたが、1925年3月12日に静岡県相良町沖に座礁し、浸水事故が発生しました。船体の引き揚げ作業が行われる中で強風に見舞われ、船は大破し、結果として放棄されることとなりました。

あまき喪失後の帆船実習

あまきの運航終了後、鳥羽商船学校は独自に練習船を持たず、東京の東海商業株式会社が所有する伊勢丸および二銭丸に委託し、帆船実習を継続しました。この頃、全国の商船学校で練習船の事故が多発しており、文部省は大型の練習帆船として日本丸および海王丸の建造を決定することとなります。このような背景の中、あまきは日本の航海教育においても重要な役割を果たしていたことが窺えます。

あまきの運行と実習の歴史は、艦船教育の中での帆船の重要性を再認識させるものとなりました。練習船としての使命を果たし、さらには後の海上教育に影響を与えたあまきの存在は、今日に至るまでその価値を失わずに残っていると言えるでしょう。

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