商船学校

商船学校とは

商船学校は、明治時代に実業学校令によって設立された、船員養成を目的とする学校です。それ以前にも自治体や私設の商船学校が存在していましたが、実業学校令によって制度化されました。

商船学校の沿革

1879年（明治12年）に北海道函館区に「函館商船学校」が開校したのが、記録に残る最初の商船学校です。その後、各地に商船学校が設立されました。

1881年（明治14年）：東京攻玉社商船黌の分校として三重県に「鳥羽商船黌」が開校
1897年（明治30年）：香川県に「粟島海員補習学校」、山口県に「大島海員学校」が開校
1898年（明治29年）：広島県に「芸陽海員学校」が開校
1899年（明治32年）：実業学校令が公布。「商船学校規程」も公布され、商船学校が制度化
1901年（明治34年）：愛媛県に「弓削海員学校」が開校
1902年（明治35年）：佐賀県に「佐賀郡立海員養成学校」が開校
1906年（明治39年）：富山県に「新湊甲種商船学校」が開校
1907年（明治40年）：島根県に「隠岐町村組合立甲種商船学校」が開校
1908年（明治41年）：岡山県に「児島商船学校」、鹿児島県に「鹿児島県立商船学校」が開校

1939年（昭和14年）には、富山、鳥羽、大島、鹿児島の4校が文部省の管轄となり、官立（国立）となりました。1940年（昭和15年）には、弓削、粟島、広島の3校も官立となっています。

第二次世界大戦後、1946年（昭和21年）には粟島と鹿児島の2校が廃止されましたが、1951年（昭和26年）には残りの5校（富山・鳥羽・弓削・広島・大島）が文部省に移管され、国立商船高等学校として再編されました。

商船学校規程の内容

1899年（明治32年）に公布された商船学校規程では、商船学校は甲種と乙種の2種類に分けられました。

甲種商船学校

入学資格：14歳以上で、修業年限4年の高等小学校卒業程度の学力を持つ者
修業年限：3年以内（実習を課す場合は延長可能）
学科目：修身、読書、作文、数学、物理、地理、外国語、図画、体操、実業に関する科目と実習など
実業に関する科目：航海科（運用術、航海術など）、機関科（機関術、機械製図など）

乙種商船学校

入学資格：10歳以上で、修業年限4年の尋常小学校卒業程度の学力を持つ者
修業年限：2年以内
学科目：修身、読書、習字、作文、数学、体操、実業に関する科目と実習など
実業に関する科目：航海科（運用術大意、航海術大意など）、機関科（機関術大意、機械製図など）

商船高等専門学校への改組

1967年（昭和42年）には、商船高等学校5校がそれぞれ商船高等専門学校に改組され、商船高等学校としての募集は停止されました。1971年（昭和46年）には、商船高等学校専攻科が閉科し、商船高等学校は正式に閉校となりました。

現在、商船高等専門学校は、独立行政法人国立高等専門学校機構に所属し、高度な専門知識と技術を持つ船員や技術者の育成を行っています。

商船学校から転換した学校

商船高等専門学校：富山、鳥羽、弓削、広島、大島の5校
公立水産高等学校：函館、隠岐の2校
海員学校：児島、粟島の2校
* 大学：鹿児島商船学校は鹿児島大学水産学部へ

商船学校は、日本の海運を支える人材育成に大きな役割を果たしました。その歴史と伝統は、現在の商船高等専門学校に引き継がれています。

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