あらうんど四万十 ―カールニカーラン―

あらうんど四万十 〜カールニカーラン〜

『あらうんど四万十 〜カールニカーラン〜』は、2015年に公開された日本の長編映画です。作品の舞台は、清流として知られる四万十川が流れる高知県四万十市。この土地を背景に、人生も半ばに差し掛かったアラフォー世代の男性たちが直面する日々の悩みや心の葛藤、そして新たな一歩を踏み出す挑戦を描いています。タイトルの「カールニカーラン」というフレーズは、地元・土佐の方言で「変わるらしい」という意味を持っており、登場人物たちの変容や再起への希望を象徴しています。

製作の背景

本作は、四万十市出身の松田大佑が監督・脚本を手掛け、主演は土佐市出身の西村雄正が務めました。映画製作のきっかけは、2014年夏に立ち上げられた四万十映画祭実行委員会の企画に端を発します。高知県にゆかりのある俳優が多く集められ、同年10月にクランクイン。四万十市に加え、隣接する幡多郡黒潮町でも約2週間にわたるロケ撮影が行われました。

物語の展開

主人公の東吾晃は、役者になる夢を追い上京したものの挫折し、故郷の四万十へ帰ってきます。彼はかつての高校時代、陸上部で汗を流した仲間たち、武、安二郎、俊二郎との再会を心待ちにしていました。東京での不遇な日々を送っていた晃は、地元で堅実に暮らす彼らを羨ましく思いますが、旧友たちもまたそれぞれに順風満帆とは言えない、心にわだかまりを抱えた日常を送っていることを知ります。この現状を打破するため、晃は高校時代の情熱を取り戻そうと決意しますが、具体的な目標は見出せないままです。

そんな折、幼馴染の岡本から、地元で開催される自転車レース「四万十ドラゴンライド」への出場を持ちかけられます。自転車店を営む武の協力を得て、晃と仲間たちは四人でのレース参加を目指し、本格的な練習を開始します。しかし、練習を始めてまもなく、晃は長年対立していた父親を亡くします。父が自身の夢を陰ながら応援してくれていたという、生前知る由もなかった真実をこの時初めて知り、晃の心に大きな変化が生まれます。

レースに向けた練習や本番の過酷な道のりの中で、晃は様々な過去の記憶と向き合います。自転車を漕ぎながら、あるいは仲間と語り合う中で蘇る思い出は、彼にもう一度俳優としての夢を追いかける気持ちを強く芽生えさせていきます。

上映と反響

本作は、2015年2月に開催された第2回四万十映画祭で先行上映されました。その後、東京アニメアワードフェスティバルや沖縄国際映画祭といった国内の映画祭に招待上映された他、台湾やメキシコ（約60都市のべ100館）でも上映されるなど、国内外で多くの観客に届けられました。

2016年には、主演の西村雄正をはじめ、荒木誠、大ちゃん（ツーライス）、能勢ヒロシ（ビーグル38）といった出演者に加え、監督の松田大佑、プロデューサーの米津太が高知県観光特使に任命され、作品を通して高知県の魅力を発信する役割も担いました。

主な出演者とスタッフ

キャスト
東吾晃：西村雄正
小出武：荒木誠
一條安二郎：能勢ヒロシ（ビーグル38）
三原俊二：大ちゃん（ツーライス）
東吾大八：山本學
東吾光子：廣井ゆう
石井監督：間寛平
島崎和歌子：島崎和歌子
小出武のいとこ：小島よしお
岡本：岡田眞善
（他多数）

スタッフ
監督・脚本：松田大佑
プロデューサー：米津太
原案：西尾純哉
撮影監督：今井哲郎
* 音楽：依田伸隆
（他多数）

『あらうんど四万十 〜カールニカーラン〜』は、四万十の豊かな自然を背景に、アラフォー男性たちの友情、家族、そして人生の再起という普遍的なテーマを温かく、そして時にコミカルに描いた作品です。故郷の風景と人々の営みを通して、一歩前に踏み出す勇気を与えてくれる物語と言えるでしょう。

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