ある女流作家の罪と罰

ある女流作家の罪と罰

『ある女流作家の罪と罰』（原題: Can You Ever Forgive Me?）は、2018年に公開されたアメリカの伝記映画です。監督はマリエル・ヘラー、主演をメリッサ・マッカーシーが務めています。この映画は、著名な伝記作家リー・イスラエルの自伝を基にし、彼女の波乱に満ちた人生を描いています。

ストーリーについて

1967年、リー・イスラエルはキャサリン・ヘプバーンのインタビュー記事を発表し、著名な伝記作家としての道を歩み始めました。この成功を境に、タルラー・バンクヘッドやドロシー・キルガレンといった有名人の伝記も手がけ、大きな評価を得ました。しかし、時が経つにつれて、彼女は職業作家としての行き詰まりを感じるようになります。

生活が厳しくなったイスラエルは、大切な品物を手放しながら生計を立てるようになり、最終的には彼女の初期の成功を象徴するヘプバーン宛の手紙すらも売る羽目に陥ります。そんな折、彼女は「著名人の手紙にはセンセーショナルな情報が含まれていると、高値で取引される」という事実に気づきます。これを契機に、彼女は著名人の手紙を捏造し、それを高額で販売するという新たなビジネスを始めることを決意します。

リー・イスラエルは、長年にわたりセレブたちと接してきた経験を活かし、巧みに捏造を行います。彼女の日々の苦労は報われ、ビジネスは思いの外好調に推移。しかし、その一方で、次第に捏造疑惑が浮上し、古物商のブラックリストに載るなど彼女の立場は厳しくなります。自らの友人であるジャック・ホックと共に、闇市場で捏造した手紙を流通させる道を選びますが、ホックがFBIに逮捕され、リーも共犯扱いされる事態に突入します。

キャストと制作

本作には、リー・イスラエル役をメリッサ・マッカーシー、ジャック・ホック役をリチャード・E・グラントが演じています。その他、ドリー・ウェルズやジェーン・カーティンなどがキャストに名を連ねています。

映画化にあたっては、2015年にニコール・ホロフセナーが監督として起用されることが報じられましたが、最終的にはマリエル・ヘラーが監督を務めることになりました。また、当初はジュリアン・ムーアが主演としてスケジュールされていましたが、降板後にマッカーシーに変更されています。撮影は2017年1月から3月にかけてニューヨークで行われました。

公開と評価

『ある女流作家の罪と罰』は、2018年9月にテルライド映画祭で初めて上映され、その後トロント国際映画祭で披露されるなど、各所での評価が高まりました。アメリカでは限定公開され、初週末に16万1510ドルを上げ、興行成績でも注目を集めました。日本ではデジタル配信が行われ、DVDも発売されています。

映画は批評家から非常に高く評価されており、Rotten Tomatoesでは99%の支持率を獲得しています。作品全体にはダークなユーモアが散りばめられ、観る者に深い印象を残す力があります。

受賞歴

本作は第91回アカデミー賞で、主演女優賞や助演男優賞など3部門にノミネートされ、全米脚本家組合賞をはじめとする複数の賞を受賞しています。これらの受賞を通じて、リー・イスラエルの複雑な人生が、映画という形で多くの人々に知られることとなりました。

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