あゝにっぽん活動大写真

『あゝにっぽん活動大写真』は、1978年の年初から春にかけて、TBS系列の放送網を通じて日本全国に届けられた、映画に関する歴史的な側面を探求するドキュメンタリー番組です。

この番組は、具体的には1978年1月1日から同年3月26日までの期間、毎週日曜日の夜10時30分から11時00分までの30分枠で放送されました。全13回の構成で、映画の深遠な世界、特に黎明期から戦後にかけての日本映画史に焦点を当てていました。

番組の中核をなす企画の基盤となったのは、著名な映画監督であるマキノ雅弘氏の著作『映画渡世』です。この書籍に記された内容を素材として用い、大正時代から昭和時代にかけての、一般にはあまり知られていない映画史の出来事や、銀幕のスターたちがどのように生まれ、輝きを放つようになったのか、その舞台裏に隠された秘話などを掘り下げて紹介しました。

ただ歴史的事実を羅列するだけでなく、その内容をより視聴者に分かりやすく、興味深く伝えるために、番組は独特の手法を取り入れました。それが、再現VTRとしてのミニドラマと、当時の関係者や事情を知る人物からの証言を組み合わせる形式です。ミニドラマによって当時の雰囲気を視覚的に再現し、そこに当事者たちの生の声や記憶に基づく証言を加えることで、歴史の深みや人間の営みを立体的に描き出しました。

この番組が制作・放送された背景には、当時、前番組であった『俺たちゃ・なんだい!』が予定よりも早く終了してしまったという事情がありました。そのため、『あゝにっぽん活動大写真』は、急遽、同年4月の番組改編期までの繋ぎとして企画・放送されることになったのです。短期間の放送予定でありながらも、日本の映画史における貴重な情報を提供し、映画ファンや歴史に関心のある視聴者にとって見応えのある内容となっていました。

番組に出演し、進行や解説などを担当したキャストとしては、伊東四朗、小倉一郎、岸部シロー（当時の芸名、現在の岸部四郎）、藤田弓子、神保美喜、池波志乃といった面々がクレジットされています。彼らが、時にミニドラマに参加したり、証言者のナビゲートを務めたりすることで、番組の円滑な進行と魅力的な語り口を支えました。

このように、『あゝにっぽん活動大写真』は、短い放送期間ではありましたが、マキノ雅弘氏のレンズを通して見た、日本の映画史における重要な一断面を、ドラマと証言という手法で鮮やかに描き出した、資料的価値も高いドキュメンタリー番組でした。関連する項目としては、番組の源流となったマキノ雅弘氏の名前が挙げられます。

もう一度検索