あ・うん

テレビドラマ『あ・うん』

概要

『あ・うん』は、1980年3月からNHKで放送された向田邦子脚本のテレビドラマです。全4話から成るこの作品は、昭和初期の日本を背景に、人々の複雑な人間関係を描いています。ことによる向田邦子の意向で、大人の恋愛がテーマとされましたが、1981年に彼女が急逝したことで続編の制作は中断されました。続編は1981年に、また後に映画化やスペシャルドラマとしても展開がありました。

この作品は、向田の唯一の長編小説としても刊行されています。物語は、製薬会社社員の水田仙吉と彼の親友で実業家の門倉修造、彼らを取り巻く人々との関係性を中心に展開します。特に、タイトルの「あ・うん」は、仙吉の父が彼らの友人関係を神社で見られる狛犬に例えたことから名付けられました。

あらすじ

物語は、昭和12年の支那事変前夜の時代設定のもと、山手に暮らす仙吉と門倉を中心に展開します。仙吉は製薬会社のサラリーマンとして、また門倉は成功した実業家として描かれています。彼らは友情で結ばれていますが、それぞれの家庭には様々な問題が潜んでおり、特に仙吉の妻たみと門倉の関係が物語に緊張感を与えています。

たみの妊娠や流産、門倉の妻君子の孤独感、さらには次世代を担う娘さと子の恋愛と肺病など、登場人物たちの複雑な心情が描写されていきます。特に門倉が仙吉の家族に接近することで生まれる複雑な感情は、友情や愛、裏切りなどをうまく表現しています。

登場人物

• - 水田仙吉 (43歳): フランキー堺が演じるサラリーマン。彼は陸軍時代の友人である門倉との関係を大切にしつつ、自らの立場を維持しようとします。
• - 門倉修造 (43歳): 杉浦直樹が演じる実業家。彼は子供を持たない妻君子との間に悩みながらも、仙吉の家族と複雑な関係になります。
• - 水田たみ (39歳): 仙吉の妻で、吉村実子が演じます。彼女は夫と親友の複雑な関係に心を痛めます。
• - 水田さと子 (18歳): 家族の期待に悩む青春の象徴。彼女は恋愛の喜びと痛みを経験します。

テレビドラマと続編

初のドラマは1980年に放送され、その後1981年には続編が制作されました。この続編は、仙吉や門倉の家族の新たな展開に焦点を当てています。続編は全5話構成で、ドラマそのものが社会問題や人間関係の深さを掘り下げる形で進行します。

映画化

1989年にはこのドラマが映画化され、主演には高倉健が起用されました。映画は、NHKドラマの第2シリーズまでのストーリーを集約したもので、感動的な人間ドラマとして人気を博しました。

評価と影響

『あ・うん』は、ドラマ・映画ともに多くの視聴者に愛され続けています。特に、友情・愛情・人間関係の複雑さが寄り添う形で描かれ、多くの教訓がある作品として評価されています。作品を通じて向田邦子の深い洞察が伺えます。

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