いいちこ (焼酎)

いいちこについて

「いいちこ」は、1979年から大分県の酒造メーカーである三和酒類によって製造されている麦焼酎のブランドです。この焼酎は、国内外で販売され、約30の国と地域で愛されています。

製品の特徴

いいちこは、大麦と麦麹を使った焼酎で、その華やかな香りと軽やかな口当たりが魅力です。アルコール度数は30度、25度、20度などの異なるバリエーションがあり、熟成されている「いいちこスーパー」や、麦麹のみを使用した「いいちこフラスコボトル」、新しい品種の麦を使用した「西の星」など、多彩なラインアップを揃えています。2009年度の売上は約78,830キロリットルに達しました。

三和酒類の主力商品として、いいちこは2003年から2009年までの7年間、国内焼酎売上高で首位を維持していました。その後、「黒霧島」を展開する霧島酒造に一時的に首位を譲るものの、いいちこの売上は安定しており、現在も焼酎市場で二番手の地位を保っています。加えて、食品ヒット大賞ロングセラー賞も受賞しており、その人気が伺えます。

「いいちこ」という名称は、大分県の方言で「いいですよ」という意味があり、「下町のナポレオン」という愛称は地元の公募で決定されました。2016年には「いいちこスペシャル」がインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションで最優秀賞を受賞しました。

ボトルデザインと広告

いいちこに使用されるボトルデザインは、数々のデザイン賞を受賞しています。「いいちこフラスコボトル」や「いいちこスペシャル」は特に人気です。1985年に発売された「iichiko シルエット720ml」からは「iichiko」のロゴが採用され、1998年以降に登場した新商品では、書家のだんきょうこがロゴデザインを手がけました。また、毎年11月15日は「いいちこの日」と定められています。

歴史的な背景

三和酒類は元々日本酒の製造を行っていましたが、1960年代中頃からの激しい価格競争により、焼酎製造へと事業をシフトしました。初期は販売に苦戦しましたが、伝統的な麦焼酎の香りや味わいの問題を克服した独自の製品を開発することに成功し、焼酎ブームと相まって人気を獲得しました。

1986年には焼酎乙類に原料表示が義務付けられ、砂糖の使用についての議論が起こりましたが、いいちこは消費者の求める味を保持するため、砂糖をしばらく使い続けました。その結果、売上は逆に伸びることとなりましたが、同時に代替品の研究も進め、砂糖を使わずに同様の風味を実現する「フラスコボトル」が誕生しました。2020年にはブランド初の缶タイプの焼酎ハイボール『いいちこ下町のハイボール』も発売されました。

マーケティング戦略

三和酒類は一般的な営業活動を行わず、代わりにイメージ戦略へ注力しています。1983年から河北秀也を広告起用し、商品企画やCMの制作を手掛けています。河北は「いいちこは広告をしてきたのではなく、デザインをしてきた」と語っており、そのクリエイティブなアプローチが、いいちこのブランドイメージを確立しています。さらに、1986年からビリー・バンバンの楽曲がCMに使用され、坂本冬美によるカバーや新しいCMキャラクターの導入など、広告においても新しい試みを続けています。

いいちこは時代と共に進化しながら、麦焼酎の魅力を広め、国内外での成長を続けています。

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