いいもんだな故郷は

いいもんだな故郷は（いいもんだなふるさとは）

「いいもんだな故郷は」は、日本の歌謡界・演歌界を代表する歌手、三橋美智也によって1990年にリリースされたシングル盤です。この作品は、二つの楽曲を対等に扱う両A面シングルとして発表されました。収録された楽曲は、「いいもんだな故郷は」と「I'm A 北海道 Man」です。

楽曲解説

このシングルの表題曲の一つである「いいもんだな故郷は」には、非常にユニークな成り立ちがあります。元々は、菓子メーカーである明治（当時の社名は明治製菓）が製造・販売していた人気スナック菓子「カール」のテレビコマーシャルで使用されるために制作された楽曲でした。CMソングとして日本全国で頻繁にオンエアされ、子どもから大人まで幅広い世代にそのメロディとフレーズが浸透し、国民的な認知度を獲得しました。

楽曲自体のレコーディングは、シングルがリリースされるよりもかなり前の1978年3月に行われていました。この時点では単体でのシングル発売は予定されておらず、最初に公式な音源として世に出たのは、レコーディングと同年の1978年に発売された、様々な企業のCMソングを集めたオムニバス・アルバム『TVコマーシャル傑作集』（レコード番号：SKD-506）の中でした。このアルバムに収録された際、楽曲のタイトルは「いいもんだな故郷は」ではなく、よりCMソングとしての性格を反映した「カールの歌」としてクレジットされていました。

その後、CMソングとしての人気が定着する中で、楽曲は三橋美智也自身の作品としても扱われるようになります。1982年には、彼のオリジナル・アルバム『ふるさと絶唱』（レコード番号：K28A-269）にも収録されました。アルバム収録曲としても、多くの音楽ファンに届けられる機会を得たのです。

そして、CMソングとしての長年の人気と認知度、さらに複数のアルバムに収録されてきた実績を経て、レコーディングから10年以上が経過した1990年に、ついに「いいもんだな故郷は」という正式なタイトルを与えられ、このシングルとしてリリースされる運びとなりました。広く親しまれたCMソングが、単なる広告音楽に留まらず、一つの楽曲としてその地位を確立し、正式なシングル盤として発売されたことは特筆すべき点でしょう。

この楽曲は、リリース後も多くの人々に愛され続けました。カラオケボックスでも定番のレパートリーとなり、中にはテレビCMで耳にした印象的な締め方を再現した独自のアレンジが施されたバージョンも存在したと言われています。これは、いかにCMソングとしてのイメージが人々の記憶に強く刻まれていたかを示唆しています。

また、この楽曲の世代を超えた人気は、後年のカバーへと繋がりました。2007年には、歌手の和田アキ子が「おかめ・ひょっとこ」篇のカールCM内でこの曲をカバーして再び注目を集めました。さらに2011年には、歌手の河村隆一も「春夏秋冬篇」の同CMでカバーを披露しました。これらのカバーは、オリジナル版が持つ楽曲の力が時代を超えても色褪せないことを証明しています。

収録曲

このシングルは両A面であったため、「いいもんだな故郷は」と並んで「I'm A 北海道 Man」も収録されています。それぞれの楽曲の詳細は以下の通りです。

I'm A 北海道 Man
作詞：荒木とよひさ
作曲：かまやつひろし
編曲：高橋信之

いいもんだな故郷は
作詞：高杉治朗
* 作曲・編曲：川口真

「いいもんだな故郷は」は、国民的なCMソングとして生まれ、長い年月を経て正式なシングルとしてリリースされた楽曲であり、三橋美智也のキャリアにおけるユニークな一側面を示す一曲と言えます。また、昭和後期から平成にかけての日本のCM文化を象徴する楽曲としても、多くの人々の記憶に残っています。

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