いとこ婚

いとこ婚（いとここん）とは

いとこ婚は、いとこ同士の結婚を指します。この形態の婚姻は、国や文化的背景によってその受け入れ方が異なります。一部の地域では近親婚とされ、禁止される場合もあれば、法的に認められた一般的な形態である場合もあります。特に日本では、いとこにあたる者同士の結婚は、4親等以上離れている限り許可されています。

日本におけるいとこ婚

日本においては、いとこ婚の歴史は古く、統計的に見ても過去には一定の割合で行われていました。後藤源太郎の著書によると、1931年の東京でのいとこ婚の比率は約4%であり、1949年の長崎市では5.24%の報告がされています。しかし、近年ではその割合は減少しており、1983年の調査では全婚姻の中でいとこ婚は約1.6%という結果が出ました。

いとこ婚の文化的背景

イスラム文化圏

イスラム文化圏では、いとこ婚が特に一般的な慣習として存在しています。サウジアラビアなどでは、血縁が濃いことが好まれ、いとこ同士の結婚が多く見られます。恋愛[[結婚]]の場合でも、女性が顔を隠すために男性が恋愛対象として考えるのは、顔を知っている従姉妹に限られることもあります。また、イスラム教の預言者ムハンマドの結婚例もいとこ婚を後押しする要因となっています。

ヨーロッパ貴族社会

ヨーロッパでも、特に王族や貴族の間でいとこ婚は頻繁に行われていました。一方で、教会法では近親婚と見なされるため、特別な許可を求めたり、逆に結婚を無効とする理由として使われたりしました。いとこ婚の背景には、血統を維持する意図が含まれており、それが貴族社会において（時には数世代に渡って）見られる特徴でした。

遺伝的リスクに関する主張

肯定的な見解

アメリカの研究によると、いとこ婚における子供の遺伝的リスクは、一般的な婚姻に比べてわずかに高いとされています。一部の研究では、いとこ同士の交配によっても、遺伝的危険度は2%程度と推定されています。これは40歳以上の高齢出産と同程度のリスクとされています。

否定的な見解

一方で、イギリスの一部コミュニティでは、遺伝病の発生率が増加する傾向があることも示されています。この場合、遺伝的リスクは一般人口の数倍から数十倍に達するという報告があります。

いとこ婚の法的規制

いとこ婚に関する法律は国によって異なります。例えば、アメリカの25州では禁止され、他の州では特殊な条件下で許可されています。インドでは宗教によって異なる法律が適用され、イスラム教徒は近親婚が許可されることがあります。

日本以外の地域の状況

韓国では1997年まで近親婚が禁じられていましたが、現在でも一定の制限があります。台湾やフィリピンではいとこ同士の結婚が禁止されています。一方、中国では1981年に近親婚が法的に禁止されています。

おわりに

いとこ婚は多様な文化的背景を持ち、その受け入れ方には地域差があります。このような婚姻形態は、血縁や家系を重視する文化が影響を及ぼしていることが伺えます。しかし、近年では遺伝的リスクや社会的な観点から、いとこ婚の実態は変化しつつあります。

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