いぬ (映画)

映画『いぬ』解説

1963年に公開されたフランス映画『いぬ』（原題：Le Doulos）は、フィルム・ノワールの傑作として高く評価されています。監督はジャン＝ピエール・メルヴィル、主演はジャン＝ポール・ベルモンドが務めました。この映画のタイトルにもなっている「いぬ」とは、警察への密告者を指す裏社会の隠語であり、物語の重要なキーワードとなっています。

あらすじ

物語は、刑務所を出所したばかりのギャング、モーリスが、妻を殺害した男ジルベールを射殺するところから始まります。復讐を果たしたモーリスは、かつての仲間であるシリアンと再会し、新たな仕事に取り掛かります。しかし、警察の包囲によって仲間は命を落とし、モーリス自身も逮捕されてしまいます。この状況から、モーリスは仲間の中に密告者がいるのではないかという疑念を抱き始めます。

モーリスはかねてから、シリアンが「いぬ」ではないかという噂を耳にしていました。さらに、愛人であるテレーズが自動車事故で死亡したことを知ると、シリアンへの疑いを一層深めていきます。テレーズの死が事故なのか、それとも何者かの陰謀なのか、真相は闇に包まれています。

モーリスはシリアンが「いぬ」であると確信し、復讐を誓います。彼は入獄後、同房の男にシリアンの殺害を依頼します。果たして、モーリスの復讐は成功するのでしょうか。そして、真の「いぬ」は一体誰なのでしょうか。

登場人物

シリアン： ジャン＝ポール・ベルモンド演じる、謎めいたギャング。モーリスの仲間であり、彼から「いぬ」ではないかと疑われる。
モーリス： セルジュ・レジアニ演じる、復讐心に燃えるギャング。仲間を裏切った「いぬ」を探す。
クラン警部： ジャン・ドザイー演じる、事件を追う警部。
ヌテシオ： ミシェル・ピコリ演じる、ギャングの一員。
テレーズ： モニーク・エネシー演じる、モーリスの愛人。謎の死を遂げる。
フェビアンヌ： ファビエンヌ・ダリ演じる、登場人物の一人。
ジルベール： ルネ・ルフェーブル演じる、モーリスに殺害される男。
レミー： フィリップ・ナオン演じる、登場人物の一人。

作品の特徴

『いぬ』は、フィルム・ノワール特有の、暗く、陰鬱な雰囲気が特徴です。裏社会で生きる男たちの孤独や裏切り、復讐といったテーマが、スタイリッシュな映像と演出によって描かれています。ジャン＝ポール・ベルモンドのクールな演技も、この映画の大きな魅力の一つです。

また、複雑に絡み合う人間関係や、二転三転するストーリー展開も見どころです。観客は、誰が「いぬ」なのか、最後まで目が離せないでしょう。

外部リンク

いぬ - allcinema
いぬ - KINENOTE
Le Doulos - オールムービー（英語）
Le Doulos - IMDb（英語）

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