いますぐ抱きしめたい

『いますぐ抱きしめたい』は、1988年に公開された香港映画で、原題は『旺角卡門』、英語では『As Tears Go By』と呼ばれています。この作品は、ウォン・カーウァイが監督デビューを果たした記念すべき作品であり、ストーリーそのものが香港ノワールの特色を持った物語で展開しています。映画は香港電影金像奨で9部門にノミネートされ、その中で助演男優を演じたジャッキー・チュンと美術部門で最優秀賞を受賞しました。

概要

ウォン・カーウァイ監督の作品は、「台本がない監督」として知られるようになりますが、本作では比較的きちんとした構成で語られています。それでも映像にはすでに彼特有のスタイルが顕在化しており、後に『欲望の翼』において彼の独特な映画スタイルがさらに洗練されていく様子が見られます。日本では1989年の香港電影祭で『モンコク・カルメン』というタイトルで上映され、1991年に『いますぐ抱きしめたい』のタイトルで劇場公開されました。最近では、2023年12月8日より4Kレストア版が特集上映「ウォン・カーウァイ　ザ・ビギニング」として公開されます。

ストーリー

映画の物語は、ギャングの一員であるアンディ（演：アンディ・ラウ）を中心に展開します。彼は、ランタオ島からやってきた従姉妹のマギー（演：マギー・チャン）に密かに恋心を抱くようになります。しかし、アンディの弟分であるジャッキー（演：ジャッキー・チュン）が次々とトラブルを引き起こし、その影響でアンディは身も心も疲弊していきます。彼は時折マギーと安息のひとときを過ごしますが、ジャッキーの問題が再び起こり、アンディは彼を救うために奔走することになります。こうした人間関係の葛藤が、物語に緊張感を与えています。

キャスト

- アンディ：アンディ・ラウ
- マギー：マギー・チャン
- ジャッキー：ジャッキー・チュン
- トニー：アレックス・マン

スタッフ

- 監督・脚本：ウォン・カーウァイ
- 製作：ローヴァー・タン
- 撮影：アンドリュー・ラウ
- 音楽：ダニー・チャン
- 美術：ウィリアム・チョン

この映画は、ウォン・カーウァイ監督の社会への鋭い視点と、視覚的な美しさが融合した作品であり、観客に深い印象を与え続けています。彼の才能が開花した瞬間を感じられる作品で、多くの映画ファンにとって特別な位置を占めることとなった理由が理解できるでしょう。

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