香港映画

香港映画の歴史と特徴

香港映画は、その多彩なジャンルと特有のスタイルで、世界の映画界において特異な存在感を示しています。特にカンフー映画は広く知られ、武道やアクションを取り入れた作品として国際的な人気を誇ります。その起源は1922年にさかのぼり、香港で初めて映画制作会社が設立されました。

初期の香港映画

1928年、カンフー映画の礎となる作品『紅蓮寺炎上』が発表され、これは大ヒットを記録しました。その後も連作される剣劇映画が人気を博し、日本の占領前までに500本以上の映画が制作されましたが、現存しているフィルムはわずか4本です。1930年代からは、サイレント映画からトーキー（音声映画）への移行が進み、数々の剣劇映画が生まれ、この時代は「剣劇映画の黄金時代」とも呼ばれています。

当初は、民衆に支持される抗日映画が増え、その流れの中で広東語映画が国民党の規制に苦しむ時代を迎えます。日中戦争勃発後、多くの上海の映画人が香港に集まり、彼らが制作する北京語映画もまた人気を得ました。この時期、広東語映画界と北京語映画界の二つの映画産業が分かれたのが特徴です。

戦後の復興と競争

第二次世界大戦後、香港映画は再び活気を取り戻しましたが、広東語と北京語の映画制作の違いから再びふたりの映画界の競争が始まります。広東語映画は、社会の矛盾を描いたり文芸作品に力を入れる一方、北京語映画界は洗練された演技やクオリティの高い内容を求められます。1960年代に入ると、剣劇映画の人気が次第に低下する中、ショウ・ブラザーズが台頭し、映画界の新しいトレンドを生み出します。

ショウ・ブラザーズは、自社のスタジオを新たに設立し、映画制作における新しいアプローチを取り入れることによって、ますます大きな影響を持つようになりました。この時期、剣劇映画からカンフー映画への移行があり、ひときわ注目を集めたのがジミー・ウォングです。彼は、香港映画界の新たなスターとなり、数多くのヒット作を生み出しました。

ゴールデンハーベストと新たな潮流

1970年、ショウ・ブラザーズを離れたレイモンド・チョウが設立したゴールデンハーベストは、新たな俳優とともに新鮮な映画制作を開始します。ブルース・リーの登場は、香港映画の国際的地位を一変させ、彼の映画は多くのファンを魅了しました。一方で、カンフー映画や香港ノワールと呼ばれる新しい流れも生まれ、映画の内容はより多様化しました。

香港映画の衰退と展望

1997年の香港返還後、香港映画は中国本土との融合が進む一方で、従来の香港映画の衰退が見られます。多くの著名な香港の監督や俳優が中国映画へ進出し、合作映画も増加しましたが、この流れは香港映画の伝統的なスタイルを薄めることにもつながりました。2013年には年間の製作本数が43本に落ち込み、1993年と比較すると製作数は激減しました。

香港映画はその歴史を通じて多様な顔を持ち続けてきましたが、近年の変化により新たな方向を模索する時期にきています。今後、どのような形で発展していくのかが注目されるところです。

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