うたう!大龍宮城

『うたう!大龍宮城』

『うたう!大龍宮城』は、1992年の1月から12月までフジテレビ系列で放映された特撮テレビ番組で、東映不思議コメディーシリーズの第13作目です。全51話に渡って、ユニークなストーリーと魅力的なキャラクターたちが展開されました。

概要

本作は、環境汚染が引き起こした影響で崩壊した竜宮城を背景に、乙姫と彼女の仲間たちが人間界に降り立ち、様々なユーモラスな展開を繰り広げるコメディドラマです。エド山口や斉藤暁などの人気俳優が、海の生物を擬人化したキャラクターとして登場し、スラップスティックなコメディを展開。特に、日本のテレビドラマとしては異色のミュージカルスタイルを採用しており、歌と踊りを通じて物語が描かれるのが最大の特徴です。

本作は浦島太郎に触発された物語で、プロデューサーの石原隆による新たな方向性を求める声から、ミュージカル形式の採用が決定しました。初めは不安要素を抱えたキャストとスタッフでしたが、メインライターの浦沢義雄と共に奇抜で不条理なコメディが構築されていきました。音楽監督の本間勇輔は、ストリングスを活用したブロードウェイ風の楽曲も提供し、映像ミュージカルのジャンルに新たな風を吹き込みました。

あらすじ

主人公の浦島タローは、勉強が苦手な小学5年生の少年で、ある日タクシー運転手の亀山海吉を助けることになります。実は海吉はカメで、彼に導かれてタローは乙姫の元へ。展示された美しい海洋リゾートに隠れた真実を知ることになり、乙姫から龍宮城再建のために力を貸してほしいと頼まれます。

タローの家庭では、父親が海外転勤を命じられ、母親もまたリゾートライフに興味を持っています。そこでタローは乙姫を保護者として家に迎えることを提案。しかし、乙姫の家族、鯨大王と珊瑚女王も同居することになり、タローは一つ屋根の下で賑やかな日常を過ごすことになります。乙姫たちは、崩壊した龍宮城の仲間たちを探し出し、彼らに歌や踊りを通じて純粋な心を取り戻す手助けをしつつ、人間社会との交流も持つようになります。

登場人物

• - 乙姫: 物語の中心人物で、龍宮城を再建する夢を抱く。向学心が強く、タローと共に勉強を促す役割を果たす。
• - 浦島タロー: 勉強嫌いの少年。乙姫との生活を通じて成長し、絆を深めていく。
• - 亀山海吉: タクシー運転手で、龍宮城の仲間を人間界に導く役目を持つ。
• - 鯨大王と珊瑚女王: 乙姫の両親で、龍宮城の再建を乙姫に任せる。

多彩なキャラクターたちが織りなす物語は、誰もが楽しめる要素が詰まっています。特に、乙姫の魅力あふれる歌や踊りは作品の大きな魅力となっており、視聴者を楽しませました。

評価と影響

残念ながら、視聴率は後半期に一桁台に落ち込むなどの苦戦を強いられましたが、制作陣の深い愛着が込められた作品であることは明らかで、多くのファンに記憶されている作品となっています。最終回では、遂に龍宮城が復活し、乙姫は再び家族と共に龍宮城に戻ることになりますが、「人間が海を汚染しないよう見張る」という理由で浦島家に居候が続く形で物語は閉じられます。このように、コメディとミュージカルの魅力が融合した本作は、特撮ドラマの新たな地平を開いた作品と言えるでしょう。

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