うなぎパイ
うなぎパイは、静岡県浜松市を代表する洋菓子として、有限会社春華堂によって製造・販売されています。その名の通り、ウナギのエキスをパイ生地に練り込み、焼き上げた後に蒲焼風のタレを塗って仕上げられるのが特徴です。ただし、ウナギの風味は感じられません。春華堂の登録商標（第2719548号ほか）であり、お土産としても人気が高く、2022年のインターネット調査では「お土産でもらうとうれしいご当地銘菓ランキング」で上位にランクインしています。
うなぎパイが誕生したのは1961年（昭和36年）のことです。当時の春華堂の二代目社長、山崎幸一氏が「浜松といえば浜名湖、浜名湖といえばウナギ」という連想から、ウナギを使った新しい洋菓子のアイデアを思いつきました。フランスの洋菓子パルミエをヒントに開発が進められ、製品化に至ります。販売開始後まもなく、東海道新幹線や東名高速道路といった東海地方の交通インフラが整備されたことが追い風となり、驚異的なスピードで売り上げを伸ばしました。1962年には年間60万本だった販売数が、わずか3年後の1965年には700万本に急増し、1966年には年間1,000万本の大台を突破します。この成功を機に、春華堂はパイ製造部門を分社化し、株式会社うなぎパイ本舗を設立。以来、うなぎパイはこの専門会社によって製造されています。2005年4月6日には、製造工程を見学できる「うなぎパイファクトリー」が浜松市内にオープンし、多くの来場者を集めています。
うなぎパイは、主に静岡県内のほか、東京から名古屋にかけてのサービスエリア、駅売店、空港売店、デパートなど、各地の正規特約店で販売されています。また、製造過程で生じる型崩れや割れがある製品を集めた「徳用袋」は、春華堂の直営店のみで扱われています。うなぎパイは非常に割れやすい性質を持つため、春華堂では公式サイトでの通信販売を行っていません。しかし、この公式販売停止を逆手に取り、一部の転売業者が定価を大幅に上回る価格で販売し、破損した商品が届くといった問題も報告されています。
うなぎパイを語る上で欠かせないのが「夜のお菓子」というキャッチフレーズです。これは、開発当時の社長が、出張や旅行から帰宅した人がその日の夜に家族団らんのひとときをうなぎパイと共に過ごしてほしいという願いを込めて考案したものです。しかし、ウナギという食材や、高度経済成長期で夜の賑わいが盛んだった浜松の街の雰囲気などから、一部では全く異なる「精力増強」といったニュアンスで捉えられるようになりました。春華堂はこの誤解を積極的に否定せず、むしろパッケージデザインに赤や黒、黄色といった色を取り入れる検討をするなど、このイメージを販売戦略に活用しようとした側面も見て取れます。現在のパッケージは赤を基調としており、原材料には「夜の調味料」としてニンニクも加えられています。
うなぎパイにはプレーンタイプに加え、ナッツを混ぜ込んだタイプがあります。また、「夜のお菓子」であるうなぎパイに対し、「朝のお菓子『すっぽんの郷』」「昼のお菓子『しらすパイ』」「真夜中のお菓子『うなぎパイVSOP』」といったユニークな姉妹品も展開されており、これらを詰め合わせた商品も販売されています。特に「うなぎパイVSOP」はブランデーを配合しており、他のうなぎパイとは一線を画す高級品として単独でも販売されています。
プロモーション活動としては、2005年に小椋佳氏が作詞作曲・歌唱を手がけたCMソング「うなぎのじゅもん」が制作されました。これまでに小椋佳氏自身や逢沢りな氏、鈴木砂羽氏、田村淳氏といった著名人がCMタレントを務めています。また、地元出身の絵本作家によるうなぎパイ職人の仕事を紹介したリーフレットが製品に封入されたり、絆創膏やマスク、iPhoneケース、キャリーケースなどのオリジナルグッズも展開されています。
人気商品であるうなぎパイには、国内の他メーカーから類似品が複数存在し、中には春華堂が訴訟を起こしたケースもあります。さらに、2013年には韓国でもウナギエキスを用いた製法や形状などが類似した「チャンオパイ」が登場し、製造元は独自開発を主張して特許も取得しています。
また、うなぎパイはその知名度から様々なメディアにも登場しています。2011年には生誕50周年を記念して、春華堂提供のテレビドラマ『誰(タレ)よりも君を愛す!』が全国放送されました。漫画『ゆるキャン△』や映画『間宮兄弟』では、作中でのキャラクターによる喫食シーンが描かれています。ゲーム『桃太郎電鉄シリーズ』にも「うなぎクッキー屋」として物件が登場しており、その関連書籍でも紹介されています。
近年では、2016年4月からのJR名古屋駅構内での一時的な販売中止とその後の再開、2020年以降の新型コロナウイルスの流行に伴う需要減による生産休止や減産など、社会情勢の影響を受ける場面も見られました。
ちなみに、イギリスには「鰻のパイ (eel pie) 」と呼ばれるウナギのぶつ切りをパイ生地に入れて焼いた郷土料理がありますが、これはうなぎパイとは全く関係がありません。
誕生から発展へ
うなぎパイが誕生したのは1961年（昭和36年）のことです。当時の春華堂の二代目社長、山崎幸一氏が「浜松といえば浜名湖、浜名湖といえばウナギ」という連想から、ウナギを使った新しい洋菓子のアイデアを思いつきました。フランスの洋菓子パルミエをヒントに開発が進められ、製品化に至ります。販売開始後まもなく、東海道新幹線や東名高速道路といった東海地方の交通インフラが整備されたことが追い風となり、驚異的なスピードで売り上げを伸ばしました。1962年には年間60万本だった販売数が、わずか3年後の1965年には700万本に急増し、1966年には年間1,000万本の大台を突破します。この成功を機に、春華堂はパイ製造部門を分社化し、株式会社うなぎパイ本舗を設立。以来、うなぎパイはこの専門会社によって製造されています。2005年4月6日には、製造工程を見学できる「うなぎパイファクトリー」が浜松市内にオープンし、多くの来場者を集めています。
販売と流通
うなぎパイは、主に静岡県内のほか、東京から名古屋にかけてのサービスエリア、駅売店、空港売店、デパートなど、各地の正規特約店で販売されています。また、製造過程で生じる型崩れや割れがある製品を集めた「徳用袋」は、春華堂の直営店のみで扱われています。うなぎパイは非常に割れやすい性質を持つため、春華堂では公式サイトでの通信販売を行っていません。しかし、この公式販売停止を逆手に取り、一部の転売業者が定価を大幅に上回る価格で販売し、破損した商品が届くといった問題も報告されています。
「夜のお菓子」の秘密
うなぎパイを語る上で欠かせないのが「夜のお菓子」というキャッチフレーズです。これは、開発当時の社長が、出張や旅行から帰宅した人がその日の夜に家族団らんのひとときをうなぎパイと共に過ごしてほしいという願いを込めて考案したものです。しかし、ウナギという食材や、高度経済成長期で夜の賑わいが盛んだった浜松の街の雰囲気などから、一部では全く異なる「精力増強」といったニュアンスで捉えられるようになりました。春華堂はこの誤解を積極的に否定せず、むしろパッケージデザインに赤や黒、黄色といった色を取り入れる検討をするなど、このイメージを販売戦略に活用しようとした側面も見て取れます。現在のパッケージは赤を基調としており、原材料には「夜の調味料」としてニンニクも加えられています。
多様な展開
うなぎパイにはプレーンタイプに加え、ナッツを混ぜ込んだタイプがあります。また、「夜のお菓子」であるうなぎパイに対し、「朝のお菓子『すっぽんの郷』」「昼のお菓子『しらすパイ』」「真夜中のお菓子『うなぎパイVSOP』」といったユニークな姉妹品も展開されており、これらを詰め合わせた商品も販売されています。特に「うなぎパイVSOP」はブランデーを配合しており、他のうなぎパイとは一線を画す高級品として単独でも販売されています。
プロモーション活動としては、2005年に小椋佳氏が作詞作曲・歌唱を手がけたCMソング「うなぎのじゅもん」が制作されました。これまでに小椋佳氏自身や逢沢りな氏、鈴木砂羽氏、田村淳氏といった著名人がCMタレントを務めています。また、地元出身の絵本作家によるうなぎパイ職人の仕事を紹介したリーフレットが製品に封入されたり、絆創膏やマスク、iPhoneケース、キャリーケースなどのオリジナルグッズも展開されています。
類似品とメディア登場
人気商品であるうなぎパイには、国内の他メーカーから類似品が複数存在し、中には春華堂が訴訟を起こしたケースもあります。さらに、2013年には韓国でもウナギエキスを用いた製法や形状などが類似した「チャンオパイ」が登場し、製造元は独自開発を主張して特許も取得しています。
また、うなぎパイはその知名度から様々なメディアにも登場しています。2011年には生誕50周年を記念して、春華堂提供のテレビドラマ『誰(タレ)よりも君を愛す!』が全国放送されました。漫画『ゆるキャン△』や映画『間宮兄弟』では、作中でのキャラクターによる喫食シーンが描かれています。ゲーム『桃太郎電鉄シリーズ』にも「うなぎクッキー屋」として物件が登場しており、その関連書籍でも紹介されています。
近年の動向
近年では、2016年4月からのJR名古屋駅構内での一時的な販売中止とその後の再開、2020年以降の新型コロナウイルスの流行に伴う需要減による生産休止や減産など、社会情勢の影響を受ける場面も見られました。
ちなみに、イギリスには「鰻のパイ (eel pie) 」と呼ばれるウナギのぶつ切りをパイ生地に入れて焼いた郷土料理がありますが、これはうなぎパイとは全く関係がありません。
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