高度経済成長

高度経済成長期

日本における高度経済成長は、1955年から1973年にかけて、実質経済成長率が年平均で約10％に達した時期を指します。この約19年間は、「神武景気」「オリンピック景気」「いざなぎ景気」といった好景気が続き、経済が飛躍的に発展しました。

戦後復興からの出発

日本は第二次世界大戦での敗北を経て、1945年以降、急速な復興を遂げました。戦後の混乱の中、朝鮮特需が経済を後押しし、インフラ整備や内需の転換が進みました。1953年には戦前の経済水準を超え、1956年には「もはや戦後ではない」という経済白書の発表がありました。

高度経済成長の展開

1957年から1973年にかけて、日本経済は年平均で10％以上の成長を達成。エネルギー供給の転換や、戦後に再生した旧財閥系企業の復活が成長を支えました。成長の要因としては、教育水準の向上と質の高い労働力の存在、戦前からの技術力、貯蓄率の高さ、円安相場、消費意欲の高まり、政府の経済政策などが挙げられます。

特に池田勇人内閣が1960年に打ち出した「所得倍増計画」は、国民総生産を10年間で2倍にすることを目指し、成長を促進しました。この計画は1964年の東京オリンピックにもつながり、多くのインフラ整備が進みました。

消費社会の到来

この時期、三種の神器と呼ばれるテレビ、洗濯機、冷蔵庫が家庭に普及し、生活様式が大きく変わりました。これにより、女性の労働参加が進むなど社会的な変化も見られました。「大きいことは良いことだ」という言葉が流行し、経済成長への期待感が高まりました。

経済の逆風と回復

しかし、1965年には証券不況が起こり、投資信託が急成長する一方で、大手証券会社が赤字に陥るトラブルが発生しました。政府は不況に対抗し、経済成長を維持するために様々な対策を講じました。

大阪万博と国際的地位の向上

1966年から1970年にかけて、いざなぎ景気が続き、日本の経済はさらなる成長を遂げます。1968年には日本の国民総生産が、西ドイツを抜いてアメリカに次ぐ世界第2位となりました。1970年には大阪万博が開催され、国際的な地位が一層高まりました。

経済成長の終焉

しかし、1971年のニクソンショックや1973年のオイルショックによって、高度経済成長は終焉を迎えました。物価の上昇と経済の鈍化が同時に進行し、戦後の繁栄は新たな試練を迎えました。

環境問題とその影響

高度経済成長の陰では、急速な工業化に起因する環境問題も顕在化しました。四大公害病の発生や都市への人口集中など、成長の代償としての課題が多数生じました。これは、後の政策見直しや環境対策の必要性を認識させる要因となりました。

各国の経済成長との関連

日本の高度経済成長は、他の国々にも類似の経済成長をもたらすものでした。「メキシコの奇跡」や「スペインの奇跡」など、それぞれの国が成し遂げた経済成長の中で、日本のモデルが影響を与えました。経済成長の教訓は今もなお、多くの国にとって有意義な参照点となっています。

このように、日本の高度経済成長期は、単なる経済成長の時代にとどまらず、社会全体に大きな変革をもたらした重要な時代でした。

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