うれしい予感/針切じいさんのロケン・ロール

「うれしい予感/針切じいさんのロケン・ロール」：ちびまる子ちゃん主題歌の軌跡

1995年2月22日、渡辺満里奈と植木等という異色の組み合わせによるスプリットシングル「うれしい予感/針切じいさんのロケン・ロール」が、Yoo-Loo/Oo Recordsよりリリースされました。このシングルは、フジテレビ系アニメ『ちびまる子ちゃん』（第2期）のオープニングテーマ「うれしい予感」とエンディングテーマ「針切じいさんのロケン・ロール」を収録した作品であり、両楽曲とも作曲は大滝詠一が担当しています。

制作背景と大滝詠一の関与

大滝詠一にとって「うれしい予感」は、1989年の小泉今日子への提供楽曲「快盗ルビイ」以来6年ぶりの新曲となりました。彼は1992年の「NTTサンクスフェア〜ちびまる子ちゃん編」イメージソングや映画『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』の挿入歌でも楽曲提供しており、『ちびまる子ちゃん』との関わりは深く、本作もその延長線上にあると言えるでしょう。「うれしい予感」のイントロはビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」を彷彿とさせ、鈴木茂、青山純、知久寿焼ら豪華ミュージシャンが参加しています。

一方、「針切じいさんのロケン・ロール」は、シェブ・ウーリーの「The Purple People Eater」を基にした替え歌です。元々は亀渕昭信のプロデュースでラッキィ池田が歌う予定でしたが、歌唱力の問題などからお蔵入り。しかし、大滝詠一の編曲とさくらももこの歌詞によって、『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマとして新たな命を吹き込まれました。この楽曲にも、TARAKO、イルカ、野村義男といった錚々たる面々が参加しています。なお、大滝詠一は2016年のアルバム『DEBUT AGAIN』にて、両楽曲をセルフカバーしています。セルフカバー版「針切じいさんのロケンロール」は、お蔵入りしたラッキィ池田バージョンのバックトラックを使用しているという、興味深いエピソードも残されています。

各楽曲の特徴と参加ミュージシャン

「うれしい予感」は、明るく軽快なメロディーが特徴で、子供から大人まで幅広い世代に親しまれる楽曲となりました。参加ミュージシャンには、鈴木茂（ギター）、青山純（ドラム）、長岡道夫（ベース）、知久寿焼（ハーモニカ）、そして大滝詠一自身もコーラスで参加しています。

「針切じいさんのロケン・ロール」は、「うれしい予感」とは対照的に、ユーモラスで少し不気味さも感じさせる独特の雰囲気を持つ楽曲です。植木等のコミカルな歌声と、さくらももこ、TARAKO、イルカといった豪華コーラス陣が楽曲に深みを与えています。野村義男がギターで参加している点も注目に値します。

放送と収録アルバム

両楽曲は『ちびまる子ちゃん』の主題歌として1995年から1996年にかけて放送され、大きな人気を博しました。1995年7月16日放送の『FNSの日』では、番組に出演した声優陣による特別版が放送されたことも記憶に新しいでしょう。また、これらの楽曲は様々なアーティストのアルバムにも収録されており、その度にアレンジやバージョン違いが楽しめる点も魅力の一つです。例えば、渡辺満里奈のアルバム『Ring-a-Bell』にはストリングスを追加したアルバムバージョンが、大滝詠一のアルバム『SNOW TIME』にはインストゥルメンタルバージョンが収録されています。大滝詠一の『DEBUT AGAIN』には、彼のセルフカバーが収録されており、オリジナルとは異なる解釈が加えられています。

まとめ

「うれしい予感/針切じいさんのロケン・ロール」は、大滝詠一の卓越した作曲能力と、豪華なミュージシャン陣の演奏、そして『ちびまる子ちゃん』という人気アニメとのコラボレーションによって生まれた、日本の音楽史に残る名曲と言えるでしょう。様々なバージョンが存在し、それぞれの魅力を楽しめるのもこのシングルの大きな特徴です。現在も多くのファンに愛され続けているこの楽曲は、これからも時代を超えて聴かれ続けることでしょう。

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