えすえふ

SF：未来から来たアンドロイドが解き明かす、20世紀末日本の謎

1997年11月3日から1998年3月26日にかけて、フジテレビで放送された深夜番組『SF』。日立製作所の一社提供で、月曜日から木曜日までの深夜帯に放送されました。放送時間は24時20分から24時30分と、短いながらも強烈なインパクトを残した番組として知られています。

番組のユニークな設定

『SF』は、西暦2997年からタイムスリップしてきた女性型アンドロイドが、20世紀末の日本の消費文化を調査するという設定が最大の特徴です。過去の深夜番組『カノッサの屈辱』を彷彿とさせる現代社会風刺的な要素を持ちつつも、『カノッサの屈辱』が教育番組のような体裁をとっていたのに対し、『SF』は、未来から来たアンドロイドという設定によって、より自由でユーモラスな表現を可能にしています。

アンドロイドたちは、発掘された20世紀末の遺物から、現代日本の文化を読み解こうとします。しかし、その調査報告は、現代人の価値観からはかけ離れた、奇妙で笑えるものばかり。アンドロイドたちのズレた視点と、それを面白おかしくツッコむ司会者たちのやり取りが、番組の大きな魅力となっています。

番組の構成と流れ

番組は、まず西暦2997年、人類滅亡の危機を回避するために結成された連邦政府委員会の議長が登場。委員会は、20世紀末の日本にタイムスリップして人類滅亡の原因を探るため、4体のアンドロイドを送り込みます。

その後、各曜日に登場するアンドロイドが、発掘された遺物（ティッシュ、シャンプー、大学、アルバイトなど）を調査。現代人の理解を超えた独特な解釈で調査結果を報告します。

議長と長老は、アンドロイドたちの報告に次々とツッコミを入れ、下ネタを交えたコミカルなやり取りを展開。この掛け合いが番組の笑いのポイントとなっています。アンドロイドの報告は、どれも現代社会の風刺として捉えることができます。例えば、「大学」は若者が4年間遊ぶテーマパーク、「アルバイト」は大学生の必須科目というように、現代社会の様々な事象を皮肉たっぷりに表現していました。

個性豊かなアンドロイドたち

4体のアンドロイドは、「アンドロイドマンデー」「アンドロイドチューズデー」「アンドロイドウェンズデー」「アンドロイドサーズデー」と呼ばれ、それぞれ個性的なキャラクターで描かれています。容姿は透明なビニールの衣装に光沢のあるブーツという近未来的なデザイン。髪の色や性格も異なり、中には回路がショートして意味不明な発言をするアンドロイドもいました。

アンドロイド役は、藤本恭子さん、河西りえさん、猪原恵利子さん、高橋弥生さんなど、当時活躍していた女優陣が務めています。特にアンドロイドウェンズデー役の猪原恵利子さんは、番組開始から終了まで同じ役を演じ続けたことが話題となりました。

特別編と最終回

1998年1月には、1時間スペシャルが放送されました。通常の出演者に加え、「世界の知識人」たちが登場し、普段とは異なる雰囲気で番組が展開されました。

最終週は、これまでの調査報告の総集編と、議長と長老が自ら現代日本を調査するロケ企画が放送されました。ロケ地は東京・渋谷と武蔵小山商店街。最終回では、アンドロイドの報告にたびたび登場する「マッカーサー」という人物に注目し、1945年にタイムスリップするという、衝撃的なエンディングで幕を閉じました。

まとめ

『SF』は、未来と過去、現実と虚構が入り混じった、独特の世界観を持つ番組でした。現代社会への風刺とユーモラスな演出、個性豊かなキャラクター、そして豪華なキャスト陣。これらの要素が相まって、深夜番組ながら高い人気を獲得しました。視聴者にとっては、現代社会の様々な問題を改めて考えさせられる、そんな作品だったと言えるでしょう。

もう一度検索