えせ同和行為

えせ同和行為とは

えせ同和行為（えせどうわこうい）は、同和問題を利用して不当な利益を要求する行為のことを指します。この行為は、個人や団体が企業や官公庁に対して同和問題への取り組みを名目に、賛助金や献金を不当に求めたり、高額な書籍を押し売りしたりする形で行われます。具体的には、1961年12月に地対協が提出した意見具申では、同和問題を口実とし、利権を得るために企業や行政機関に対し不当な圧力をかける行為として明確に定義されています。

このような活動は、しばしば暴力団との関係が深く、法的な監視を受けることも少なくありません。さらに、えせ同和行為は、部落に対する偏見を助長し、本来の人権問題の解決に逆行する要因ともなっています。

概要

えせ同和行為の根本には、「部落問題は面倒だ」という誤った認識があり、その隙を突いて利益を引き出す恐喝行為が行われることがあります。このような行為は、刑事事件と化すこともあり、具体的には「強要」や「恐喝」といった犯罪に分類されることがあります。その上、暴力団との関与が見受けられるため、金銭を支払うことはその活動資金を提供することにもつながりかねません。

法務省が実施した「えせ同和行為実態調査」によると、2007年には約15%の事業所が同和を名乗る者からの違法な要求を受けたと回答し、その内の12.3%が実際に要求に応じてしまったとされています。これにより、被害金額は幅広く、1万円から100万円以上にわたるケースが報告されています。

具体的な手口及び対策

えせ同和行為の具体的な手口には、以下のようなものがあります:

• - 高額の図書購入の強要: 同和問題への取り組みが足りないという理由をつけて、高額な書籍の購入を要求する。
• - 示談金の要求: 一方的に差別を受けたと主張し、誠意を示せとしたお金を求める。
• - 利益誘導: 特定の企業に工事を参加させるように要求するなど、利益を得るための圧力をかける。

えせ同和行為による要求を受けた場合には、「恐喝」とみなされるため、絶対に応じず、すぐに報告することが重要です。また、要求の内容は録音や映像で記録し、その証拠を残すことが推奨されます。要求に一度でも応じると、次第に執拗に要求が続くことも多く、毅然とした態度が必須です。

えせ同和の定義

「えせ同和」の表現には二つの解釈があります。一つは、同和関係者でない者が同和関係者を装って利益を要求する行為、もう一つは、同和問題解決の名を借りて利益を求める行為です。特に、地対協による正式な定義は後者であり、同胞の融和を掲げる名目の下で不当な利益追求を行うことを指します。これにより、正当な目的があったとしても、私的利益を追求する行為は「えせ同和」とみなされる可能性があります。

同和団体からの批判や糾弾があった場合でも、それが不当な要求にあたる場合、対処が求められます。このような団体が同和を名乗ることはかれんしい事例があり、被害者となりうる立場の人々は要注意が必要です。

主なえせ同和団体

今日、全国にはえせ同和団体が多数存在し、その数は620以上とも言われています。これらの団体は、名前に「日本」「全国」といった言葉を冠し、同和問題に関連する用語を組み合わせていることが多いです。中には、政府の対応する同和団体と紛らわしい名称を使った団体も多く、誤解を招く要因ともなっています。

結論

えせ同和行為は、同和問題を背後に持った複雑な問題であり、根本的には社会全体の理解とともに対策が必要です。このような行為に巻き込まれることを防ぐためにも、実態を正しく理解することが求められます。

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