おおすみ型輸送艦 (2代)

おおすみ型輸送艦の概要

おおすみ型輸送艦（Ōsumi-class tank landing ship）は、海上自衛隊が運用する重要な艦船です。この艦は、戦車を揚陸するための艦種としてLST（Landing Ship Tank）に分類されますが、他の国々ではドック型輸送揚陸艦（LPD）として知られています。建造費用はおおよそ272億円で、近代的な設計と機能を備えています。

設計と機能

おおすみ型は、艦内の後部にウェルドックを備えており、ここには2隻のホバークラフトを搭載しています。この設計により、陸上自衛隊の330名の普通科中隊戦闘群とその装備品を輸送できるほか、民間人も最大で1,000名収容可能で、医療機能も充実しているためさまざまな状況に対応できます。また、全通飛行甲板を採用したことで、ヘリコプターの発着が容易で、輸送・揚陸能力が向上しています。

建造の経緯

海上自衛隊の輸送艦艇部隊は1955年にアメリカ海軍から供与の揚陸艇で成り立ちました。その後、1961年に初代おおすみ型艦が誕生します。国産艦の開発が続く中で、昭和62年度から平成元年度にかけて、さまざまな艦型の設計が試みられましたが、実現したのが現在の型です。この艦型の設計にあたっては、エア・クッション型揚陸艇を運用することが考慮され、そのサイズや速力が決定されました。

艦体の特徴

おおすみ型は、従来のビーチング式揚陸艦とは異なり、海上自衛隊初のバルバス・バウを採用した船体デザインが特徴です。これにより、航行性能や機動性が大幅に向上しています。艦上には全通飛行甲板があり、艦橋構造物は右舷に寄せたアイランド型で、電波ステルス性を考慮した設計となっています。

機関と推進システム

主機関は、三井造船製のV型16気筒ディーゼルエンジンを2基搭載し、可変ピッチ・プロペラ（CPP）を採用しています。これにより、出入港の際の接岸が容易になり、運用がスムーズになります。

輸送と揚陸機能

おおすみ型は、多くの車両を搭載可能です。最上甲板前半部は約1,200m²の面積を持ち、艦内の第4甲板にも約1,000m²の車両甲板があります。これにより、完全武装した陸自隊員330名と装備品が輸送可能で、災害派遣時には民間人も収容できます。

舟艇の運用

おおすみ型は、エアクッション艇を使用して揚陸を行い、従来のビーチング方式における制約から解放されています。この方式により、揚陸可能な海岸の範囲が大幅に広がり、効率的な作戦行動が可能になります。LCAC（エアクッション型揚陸艇）を2隻搭載できるため、陸上部隊の迅速な展開が実現されています。

航空機運用

おおすみ型には専用のヘリコプター格納庫はありませんが、陸上自衛隊の輸送ヘリコプターを搭載して運用することができます。必要に応じてCH-47やUH-60を活用し、輸送作戦を実施できます。

医療機能

医療機能も充実しており、手術室、集中治療室、病床を備えています。国際的な救援活動にも迅速に対応できる設計となっており、これまでの様々な災害援助任務において活躍しています。

多用途性

おおすみ型は、戦争以外の軍事作戦にも対応可能で、多様な環境での支援活動を行っています。例えば、2004年のスマトラ沖地震被災地への人道支援など、国内外で多くの人々の救助活動を行っています。これにより、自衛隊の役割が広がり、さらなる取り組みが求められています。

同型艦

現在、おおすみ型輸送艦は3隻が運用され、全艦が呉基地に配備されています。各艦はそれぞれの任務に応じた活動を行い、海上自衛隊の重要な戦力の一翼を担っています。

結論

おおすみ型輸送艦は、その多機能性と高い運用能力により、海上自衛隊の重要な存在となっています。今後もその能力を生かして、国内外の様々な任務に貢献し続けることでしょう。

もう一度検索