おおぶ文化交流の杜図書館

概要

おおぶ文化交流の杜図書館は、愛知県大府市にある公共図書館です。2014年、複合文化施設「おおぶ文化交流の杜」の開館に合わせてオープンしました。前身は大倉会館にあった大府市中央図書館で、移転に伴い、大幅な規模拡大とサービスの充実が図られました。

特色

施設

愛知県内最大級のワンフロア図書館として、広々とした空間が特徴です。自然光が差し込む大きな窓や、中庭「読書の杜」があり、開放的な雰囲気の中で読書を楽しめます。

最新の設備も充実しており、自動貸出機、自動返却ポスト、予約図書コーナー、自動閉架書庫などを備えています。特に自動化システムは、返却処理の迅速化や、蔵書点検の効率化に大きく貢献しています。自動閉架書庫は23万冊を収容可能で、書籍の出庫も約90秒とスピーディーです。全ての書籍にICタグを導入することで、蔵書管理も大幅に効率化されています。

サービス

利用者層として子供が多く、ボランティアによる読み聞かせ活動が活発に行われています。館内にはフロアマネージャーが配置され、利用者の案内やサポートを行っています。貸出冊数は20冊までと多く、大府市に関する映像を鑑賞できる「allobu映像アーカイブ」も設置されています。

暮らしや子育て支援、児童書に力を入れており、関連コーナーは図書館入口近くに配置されています。健康都市を掲げる大府市らしく、健康関連図書の特設コーナーも設けられています。その他、子育て支援、ビジネス支援、中高生向けのコーナーも充実しています。

学習室は57席あり、知多半島5市5町に在住・在勤・在学者で小学生以上であれば利用できます。

電子書籍

2014年7月の開館時から電子書籍サービスを開始しました。館内ではiPadを貸し出し、電子書籍を閲覧できます。大府市在住者は、館外からもインターネットを通じて電子書籍を利用可能です。語学書、料理本、動く絵本などが人気を集めています。電子書籍の貸出数は当初は多かったものの、その後は低迷傾向にあり、担当者はタブレット端末の普及率の低さを要因として挙げています。

電子書籍の導入は、愛知県内の図書館では初の試みでした。2015年1月時点で電子書籍の貸出を行っている公立図書館は約30館と少なく、東海地方では4館のみでした。2016年2月には豊川市中央図書館が愛知県2例目として電子書籍を導入しています。

歴史

戦前

1919年（大正8年）には、知多郡域で9番目の図書館として「大府町立図書館」が開館しました。大府小学校に付設された図書館は、「大府町立第一図書館」と呼ばれていました。

1924年（大正13年）には、大府町立図書館が愛知県大府農学校に移管されましたが、その後の記録は不確かです。1925年（大正14年）から1931年（昭和6年）にかけて、大府町図書館の経営費が記録に残っています。

戦後

太平洋戦争後、大府町図書館は休止状態となりましたが、1951年（昭和26年）には愛知県の移動図書館車の巡回をきっかけに、大府町公民館で図書館が復活しました。公民館活動の一環として巡回文庫も行われました。1960年（昭和35年）には、受入・貸出方式が改められました。

1970年（昭和45年）に大府町が市制を施行し、大府市立図書館に改称されました。1971年（昭和46年）度には、愛知県の移動図書館の利用が多く、読書感想文コンクールも始まりました。1973年（昭和48年）には、図書館での閲覧・貸出、巡回図書の貸出、愛知県文化会館愛知図書館との連携、読書感想文コンクールが主な活動でした。

1969年（昭和44年）以降、市内各公民館に図書室が設けられ、1975年（昭和50年）からは移動図書館車「あおぞら号」の巡回も開始されました。

大府市中央図書館(1980-2014)

図書館法における「図書館」として、1980年（昭和55年）に大倉会館内に大府市中央図書館が開館しました。開館当初からコンピュータを導入し、貸出冊数は大幅に増加しました。2004年（平成16年）からは、管理運営が図書館流通センターに委託され、開館時間の延長や巡回サービスなど、サービスの向上が図られました。2010年度末時点の蔵書数は約32万冊でした。

新館移転計画

大府市の人口増加や、文化学習施設の不足を背景に、図書館を内包する生涯学習センターの建設が計画されました。2008年には基本計画が策定されましたが、リーマン・ショックの影響で計画が延期され、規模縮小を余儀なくされました。

PFI方式を採用し、三菱HCキャピタルなどが設立したおおぶ文化交流の杜株式会社が指定管理者となり、2012年10月に着工しました。大府市中央図書館は2014年3月17日に閉館し、新館移転の準備に入りました。

おおぶ文化交流の杜図書館(2014-)

2014年（平成26年）7月1日、複合文化施設「おおぶ文化交流の杜」が開館し、おおぶ文化交流の杜図書館も同時にオープンしました。市内各施設の図書も一元管理し、連携して貸出を行っています。

施設全体の愛称「ALLOBU」（アローブ）は、「全ての人たち(ALL)が共に生きあう大府(OBU)」を意味します。

開館時間は20時まで延長され、利用者数・貸出数ともに大幅に増加しました。2015年度には、全国の同規模自治体の中で貸出数・1人あたり貸出数が最も多い図書館となりました。

脚注

参考文献

『愛知県下公私立図書館記念写真帖』愛知県図書館協会、1928年。
大府市『平成28年版おおぶの統計』大府市、2016年。
大府教育史編さん委員会『大府教育史』大府市教育委員会、1973年。
大府市企画制作部企画政策課政策推進室『大府市（仮称）おおぶ文化交流の杜図書館基本計画書』大府市、2008年。
大府市誌編さん刊行委員会『大府市誌』大府市、1986年。
大府市中央図書館『図書館年報平成20年度実績報告』大府市中央図書館、2009年。
『近代日本図書館の歩み地方篇』日本図書館協会、1992年。
「知多半島・親子ワクワク図書館巡り」、『知多半島タウン情報誌ステップ』（2014年9月号）
「文化の秋 allobuの図書館システム」、『EDIT知多半島』56号（2014年秋号）
「おおぶ文化交流の杜図書館」、『図書館の学校』（2014年秋号）
「おおぶ文化交流の杜 allobu」、『近代建築』68巻10号（2014年10月号）

関連項目

愛知県の図書館一覧

外部リンク

おおぶ文化交流の杜図書館 HP（日本語）
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おおぶ文化交流の杜allobu公式「アローブチャンネル」 - YouTubeチャンネル（日本語）
* おおぶ文化交流の杜図書館／大府市郷土資料デジタルアーカイブ - ADEAC

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