おかあさんの木

『おかあさんの木』

概要

『おかあさんの木』は、1969年に児童文学作家・大川悦生が発表した作品で、戦争をテーマにした感動的な物語です。この作品は、1977年から2000年にかけて小学校の国語の教科書に収録され、多くの子どもたちに親しまれてきました。また、映画化もされており、特に2015年には終戦70年を記念して実写映画が公開されました。本記事では、双方の映像作品についても詳しく紹介します。

あらすじ

物語は、ある家に住む「おかあさん」と七人の息子たちを中心に展開します。時代は日中戦争から日本の戦争へと進んでいき、息子たちは次々に召集されていきます。おかあさんは、息子たちが出征する度に裏庭に桐の木を植え、その木に息子たちの無事を願い語りかけます。最初は手柄を立てることを願っていたおかあさんでしたが、一郎の戦死を受けて、徐々に無事に帰ってくることを願うようになります。

全ての息子が戦争に巻き込まれ、帰ることはありませんでした。おかあさんは次第に衰弱していきますが、それでも七本の桐の木に希望を託し続けました。そして、ある日ようやく帰還した五郎を迎えた際、おかあさんは「五郎」と名付けた桐の木にもたれて息を引き取ります。

書籍情報

作品は『おかあさんの木』というタイトルの他にも、戦争に関連する短編を収めた短編集として刊行されています。大川悦生著、イラストは箕田源二郎が手がけ、1969年にポプラ社から出版されました。また、2005年に改めて出版された版もあり、現在でも多くの人に手に取られています。

アニメ映画

1986年に制作されたアニメ映画版もあり、平和教育の一環として一部自治体でビデオテープの貸出を行っています。DVDも販売されており、多くの家庭で視聴されています。このアニメ版は、ストーリーを通じて戦争の悲劇を伝え、子どもたちに平和の大切さを教える役割を果たしています。

実写映画

2015年に公開された実写映画版では、原作のストーリーを基にしつつ、現代の視点から新たな解釈が加えられています。キャストには鈴木京香が「おかあさん」として出演し、物語の深みを増しています。映画公開に合わせて大人向けに編集された文庫版も発売され、映画をより一層楽しむための特典が付いていることが話題となりました。

実写版では、原作とは異なる描写や設定が取り入れられており、観客に新たな体験を提供しています。

雑記

実写版は原作者の疎開先である長野県上田地域を舞台にしており、地域の歴史や風景も作品に色濃く反映されています。原作と映画版での製作エピソードや変更点を踏まえながら、多くの観客に愛され続ける作品となっています。

まとめ

『おかあさんの木』は、戦争の悲惨さを訴えながらも、家族愛と希望を描いた名作です。アニメと実写での描かれ方の違いを楽しむとともに、私たちに考えさせる力を持った作品として、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

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