おがさわら丸 (2代)

おがさわら丸の概要と運航歴

おがさわら丸（おがさわらまる）は、1997年から2016年まで小笠原海運によって運航されていた貨客船です。この船は、東京と父島を結ぶ重要な航路において、旅行客および貨物輸送の役割を果たしました。本船は初代おがさわら丸の後継として、三菱重工業下関造船所で建造され、1997年2月20日に就航しました。

建造と機能

おがさわら丸は、共有建造制度を利用して建造された船舶整備公団（現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構）との共有船です。就航当初は、国内の内航在来型貨客船の中でも最大かつ最高速を誇る存在でした。前船と比べて総トン数が倍増し、黒潮を横切る航路環境に適した高出力の主機関と安定性を高めるためのフィンスタビライザーが搭載されていました。

2007年11月には定期検査に伴い、一部の遊技施設が撤去され、新たに喫煙ルームや客室が設置されるなどの改修が行われました。2016年には三代目おがさわら丸が就航し、最終的に同年6月26日の便をもって引退しました。その後、船はニウエ船籍となり「OGASA」と改名された後、インドへ向かい、2018年10月から「ANGRIYA」としての運航を開始しました。

航路と運航スケジュール

おがさわら丸は主に東京の竹芝桟橋と父島の二見港を結んでいました。標準的な所要時間は片道約25時間30分で、通常は6日から7日に1便のペースで運航されていました。出発は午前10時で、翌日の11:30に父島に到着し、折り返し便は午後2時に父島を出港し、次の日の午後3時30分に竹芝に到着する運航スケジュールでした。

繁忙期には増便が行われ、年末年始や夏休みの時期では特に便数が増える傾向がありました。また、硫黄島での慰霊祭では特別に遺族や関係者を乗せた便も出されていました。加えて、年に1回程度硫黄列島を巡るクルージングツアーも開催されており、八丈島にも寄港していました。

船内施設と居住性

おがさわら丸は、2012年から定員を1,036名から768名に削減し、居住性の向上が図られました。客室は多様なスタイルがあり、特等室や1等室、特2等室などが用意されていました。各部屋にはシャワーやトイレ、冷蔵庫などの設備が備わっており、快適な滞在が可能でした。

船内には、レストラン、売店、自動販売機、スナック、チルドレンルーム、ラウンジなどがあり、乗客のニーズに応える施設が充実していました。また、昼間は外部デッキが開放されており、海を楽しむことができる環境も整っていました。売店では小笠原に関する土産や書籍、船内限定グッズなども販売されていました。

運航の歴史と影響

おがさわら丸は、東京と父島を結ぶ重要な輸送手段として、地域住民や観光客にとって欠かせない存在でした。その運航は、当時の社会的背景や地域の発展に大きな影響を与え、多くの人々の記憶に刻まれています。引退後も別の船としての新たな章を刻むおがさわら丸の物語は、その歴史的役割を今なお感じさせます。

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