小笠原海運

小笠原海運株式会社

小笠原海運株式会社（おがさわらかいうん、Ogasawara Kaiun Co., Ltd.）は、東京港と父島間を結ぶ定期航路を運営している海運会社です。東海汽船の完全子会社として、また日本郵船の持分法適用会社でもあり、本社は東京都港区芝浦に位置しています。この会社は、1972年に東京から父島への航路開設に伴い設立され、以来、安定した輸送サービスを提供しています。

沿革

小笠原海運は1969年に設立され、最初の船舶「椿丸」、「黒潮丸」、「あじさい丸」などが就航しました。設立当初は資本金が1000万円で、東海汽船と近海郵船がそれぞれ50%の株式を保有していました。1972年には、父島営業所が開設され、政府からの支援を受けながら定期航路が始まりました。初めは片道44時間の運航でしたが、1979年に就航した「おがさわら丸（初代）」の導入により、所要時間が28時間に短縮されました。この傾向は続き、1997年には2代目おがさわら丸が導入され、所要時間は25時間30分に短縮されました。

その後、2016年には3代目のおがさわら丸が就航し、現在では片道24時間で東京から父島へアクセスできるようになっています。また、2021年には日本郵船が保有していた株式の一部を取得し、東海汽船の完全子会社となりました。

航路と運航船舶

小笠原海運が運航する主な航路は、東京の竹芝桟橋から父島（二見港）へのもので、基準所要時間は24時間です。現在運航中の「おがさわら丸（3代目）」は、2016年に竣工し、総トン数11,035トン、全長150メートル、航海速力は23.8ノット（約44.1km/h）で、894名の旅客を収容可能です。船舶は三菱重工業下関造船所で建造され、鉄道インフラとの共有も行われています。

また、運航中の「おがさわら丸」の定期点検時には、東海汽船が所有する「さるびあ丸」が代船として運航されることがあります。過去には、数隻の船舶が運航されており、初代おがさわら丸は1997年まで就航していました。後にフィリピンへ売却されました。さらに、2代目おがさわら丸は、改造を経てインドのクルーズ客船「ANGRIYA」として就航しています。

法的トラブル

小笠原海運は、建造中の超高速貨客船「SUPER LINER OGASAWARA」に関して、テクノ・シーウェイズから損害賠償を求められた事例があり、2010年に福岡地裁から損害賠償命令を受けましたが、控訴し最終的には和解に至りました。

事件や事故

過去には、旅客の怪我や軽傷を伴う事故も発生しています。2010年にはおがさわら丸（2代目）での事故があり、船の動揺により一人の旅客が重傷を負う事態がありました。また、別の事故ではガラスの飛散によって複数の旅客が軽傷を負う事故もありました。これらの事故は、航路の安全性向上に向けた課題を示しています。

小笠原海運は、今後も多くの人々の移動を支える重要な役割を果たしていくことでしょう。

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