おさかなはあみの中

おさかなはあみの中

『おさかなはあみの中』は、日本のBL漫画作品であり、作者は乱魔猫吉です。この作品は1990年から1994年の間に桜桃書房の雑誌『GUST』で連載され、その後OVAとして1994年7月20日に『おさかなはあみの中 〜FISH IN THE TRAP〜』というタイトルでアニメ化されました。2007年にはエンターブレインから新装版コミックスが発売され、最終章が新たに書き下ろされています。

概要

本作はBLジャンルの早期の作品の一つとして知られ、共学校を舞台にしたストーリー展開が特徴です。物語の中では主人公たちとその周囲の女生徒たちの思いが丁寧に描写されています。これにより物語の深みが増し、さまざまな人間関係が織り成すドラマが展開されます。

ストーリー

物語の中心人物は松井貴博。彼は北勇高校に新たに進学し、水泳部に入部することを希望する。しかし、塚本裕司という先輩との出会いが彼の運命を大きく変えることになります。実は、塚本は貴博の過去に深く関わる存在で、中学時代に彼を暴行した一人でもあることが判明します。

塚本は初めのうちは貴博に対し恐ろしさを抱いていましたが、彼への出会いが不思議な執着を引き起こし、再び貴博に接近することを決意します。この行為は表向きは凌辱に見えますが、塚本の中に秘めた「愛」の形であったことが徐々に明かされます。彼の行動には、単なる暴力ではなく、愛情が絡んでいるのです。

貴博はこの複雑な関係に苦悩しつつ、友人である廣瀬太一や吉野栄一に心配をかける存在となります。特に吉野は、貴博への強い思いを抱えているものの、彼を守ることができません。また、廣瀬の兄である耕太は、塚本グループの内部事情を調査しようとし、物語のキーを握る存在となります。

物語は進むにつれて、貴博と塚本の関係が緊迫し、二人の間に生まれた感情が波乱を呼ぶことになります。唐川は塚本に嫉妬を感じつつ、貴博の過去に隠された秘密を暴露し、関係はさらに複雑に絡み合います。塚本グループの暗部が浮かび上がり、その影響が貴博の家族にも及ぶこととなります。

クライマックス

最終的には、貴博の思いの中で彼の父の死の真相と、塚本の関わりが明らかになります。友人吉野との関係も一層緊迫し、自身の思いを吐露した彼は貴博に拒否されます。窪小路が暗躍し、貴博は危険な状況に追いやられ、結果として深い傷を負う事に。物語は結末へと向かい、貴博の行方が不明となった後、再び何年かが経過します。

結末

数年後、塚本は貴博を探し続け、ついに彼が戻ってくる瞬間に訪れますが、貴博は記憶を喪失しています。その再会の中で、彼は塚本に対し何かを感じる様子を見せ、物語は一旦の終息を迎えます。この作品には、人の心の奥に潜む愛憎が描かれており、登場人物それぞれの成長と葛藤が魅力的に展開されます。

登場人物

• - 松井貴博（まつい たかひろ）: 水泳選手で、幽霊のような存在に惹かれる高校生。
• - 塚本裕司（つかもと ゆうじ）: 塚本グループの跡取りで、複雑な感情を抱く先輩。
• - 吉野栄一（よしの えいいち）: 幼馴染の恋情を抱える人物。
• - 廣瀬太一（ひろせ たいち）: 貴博の友人。
• - 廣瀬耕太（ひろせ こうた）: ジャーナリストで兄。

この作品は、友情や恋愛、裏切りが交錯し、登場人物たちの成長と感情が大きく揺れ動く物語です。

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