おしょろ丸 (4代)

おしょろ丸について

おしょろ丸は、北海道大学水産学部が所有していた練習船であり、1983年に竣工した4代目の船です。本船は学生たちが海洋学、漁業、運用、運航に関する実習を行うために造られ、また海洋観測や漁場・生物資源調査にも利用されました。水産学部の学生に貴重な実践の場を提供する役割を果たし、北海道内外での様々な調査活動に携わりました。

概要と活動

おしょろ丸は三井造船玉野事業所で建造され、1983年12月23日にその運航を開始しました。2008年には日本の内閣府からの要望に応え、北方領土への墓参航海を行いました。この航海では函館港を出港し、墓参団を花咲港で乗船させた後、厳しい天候の中で複数の墓地に上陸しました。慰霊祭も開催され、北海道庁が主催しました。この活動は1994年の北星丸以来、15年ぶりの試みであり、その後も2010年まで3年連続で同様の航海を実施しました。

2014年には5代目のおしょろ丸が就航し、4代目は引退を迎えました。以降、本船は海洋エンジニアリングや第一開洋丸として再生され、2015年4月からは海洋調査船として新たな役割を担っています。

設計と設備

おしょろ丸は一層の甲板船で、船首に桜型のデザインと長い船尾楼が特徴です。ウェル甲板は船首と船橋の間に設置され、実習・観測・調査を行うために十分な復原性を備えるよう設計されています。船体は北洋での航行を想定し、NK船級のC Class耐氷構造を取得しています。また、無人化船相当の機関区域を持ち、集中監視が可能な機器が設置されています。

さらに、各種漁労装置や観測装置が充実しており、底曳やマグロ延縄漁、基盤の漁法に対応した機器、採水ウィンチやプランクトンマグネットなどを搭載しています。これにより、さまざまな調査に対応した恵まれた環境を提供しました。

エピソード

おしょろ丸が参加した重要な調査の中には、2009年に行われたウナギの卵の自然界における初発見が含まれます。さらに、2008年には北太平洋海洋科学機構から海洋モニタリング賞を受賞し、日本での初受賞となりました。また、東日本大震災時には実習船が被災した岩手県立宮古水産高等学校に対して乗船実習の機会を提供しました。

最後に

おしょろ丸は、学びと実践の場として数々の海洋調査に貢献し、多くの学生や研究者に影響を与えた重要な存在でした。新たな船に引き継がれる形でその役割を歴史に刻みつつ、今後も海洋研究や調査に期待が寄せられています。

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