おとなの漫画

『おとなの漫画』の概要

『おとなの漫画』は、フジテレビが開局して間もない1959年の3月2日から1964年の12月31日まで、約5年間にわたって放送されていたバラエティ番組です。この番組は、1835回ものエピソードを放送した時事風刺のコメディ番組として知られています。視聴者に笑いを届けつつ、社会の出来事を鋭くえぐるスタイルが特徴でした。

放送内容と形式

『おとなの漫画』は、月曜日から土曜日まで毎日放送され、昼の12時50分から10分間の生放送が行われていました。開始当初は5分間の放送だったため、短い時間内で完結するコントが特徴でした。また、日曜日には同じ時間帯で特別版が放送されていたこともありますが、1961年に日曜版は短期間で再開した後、すぐに終了しました。

番組のレギュラーとして知られるのは、ハナ肇とクレージーキャッツの面々で、彼らは毎日の新聞記事をもとにコントを制作していました。ディレクターはすぎやまこういち（本名：椙山浩一）が務めており、構成は青島幸男が担当していました。

番組の構成

番組の冒頭では、特有のフリップ形式でタイトルと提供クレジットが紹介され、出演者が紙芝居のようにスライドを読み上げていくスタイルでした。放送終了時には、植木等による名セリフ「ちょうど時間となりました。ハァ～、こりゃシャクだった!」で締められました。このセリフは後に「こりゃシャクだった」という楽曲の原型ともなっています。

スクリプトと制作の苦労

番組のコントは、放送日の朝刊に掲載された記事を参考に制作されたため、台本は生放送の約2時間前に完成させる必要がありました。結果として、出演者は自身のセリフの部分のみを暗記し、早急に準備を整えなければならないことが多かったのです。この制作スタイルは、時折トラブルを引き起こすこともありました。

特別編とエピソード

1963年から1964年の正月三が日には、放送時間を拡大した正月スペシャルが企画され、特別なエピソードが放送されました。これらのエピソードには、クレージーキャッツのヒットパレードや初笑いをテーマにした特集が含まれています。こうした特別番組は、視聴者の期待を高める要因となりました。

あるエピソードでは、エイプリルフールに絡めた仕掛けが視聴者から抗議を受け、波乱の展開をみせました。また、安保闘争を題材にしたコントが物議を醸し、警察からの注意を受けることもあったのです。こういった敏感なテーマを扱うことで、視聴者に強い印象を与え続けました。

番組の影響と再現

『おとなの漫画』は、その後もさまざまな形で言及され、リメイクや特番として再現されることがありました。1985年には30周年を記念した特別番組が放送され、2006年には実際の映像を交えたドラマも放映されています。サザンオールスターズの桑田佳祐がこの番組を観て育ち、彼自身の楽曲にも影響を与えたことが、番組の文化的な意義を示しています。

こうした背景を持つ『おとなの漫画』は、日本のテレビ史において重要なコメディ番組のひとつとして記憶され続けています。

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