ハナ肇

ハナ肇の生涯

ハナ肇（本名：野々山定夫、1930年2月9日 - 1993年9月10日）は、日本のエンターテイメント界に名を刻むドラマー、コメディアン、俳優です。東京都豊島区に生まれ、幼少期は水道局の鉛管工の息子として育ちました。彼は工学院大学専門学校で土木科に在籍していましたが、1945年に戦争の影響で学校が焼失したことから、進路を変えることになります。入院を経て、1946年から音楽に目覚め、刀根勝美楽団でドラムを担当し始めます。この頃に植木等と知り合い、その後の道を共にすることになります。

クレージーキャッツの結成

1955年には、自身のバンド「ハナ肇とキューバン・キャッツ」を結成し、これがクレージーキャッツの前身となりました。バンドに植木等、谷啓が加わり、1957年には正式に「ハナ肇とクレージーキャッツ」と名乗るようになります。ハナの芸名は、興奮すると鼻の穴が開くことに由来し、名は息子の憧れたピアニストに影響を受けたものです。

コメディアンとしての活躍

彼は日本テレビ系『シャボン玉ホリデー』や『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』など数多くのバラエティ番組に出演し、有名なセリフ「アッと驚く為五郎」を誕生させました。クレージーキャッツでは強力なリーダーシップを発揮し、渡辺プロダクション全体の大番頭としてもその存在感を示しました。特に、植木等が訴求する一方で、ハナはその陰でサポート役として影響を与えていました。彼の型破りなギャグやキャラクターは、多くの人々に愛されるものでした。

映画やドラマでの活動

俳優としても多くの作品に出演し、特に山田洋次監督とのコラボレーションは有名です。彼の演技は不器用な印象を与えがちでしたが、作品における鋭さと感受性により多くの監督から高く評価されました。また、ブルーリボン主演男優賞など数々の賞も受賞しています。彼の幅広いキャリアの中で、松竹の若手監督たちと組むことで、時代の流れを感じさせる作品に多く参加しました。

晩年と死去

晩年には、自らのバンド「ハナ肇&オーバー・ザ・レインボー」を結成し、最後まで音楽活動に情熱を注いでいました。しかし、1993年に肝細胞癌が見つかり、治療の傍らも作品への意欲は高く持ち続けていました。彼自身は癌の事実を知らされないまま、家族や仲間に見守られながら63歳という若さでこの世を去りました。

最後に

葬儀では、彼に深い愛情を持っていた仲間たちがその存在を偲びました。植木等の解散宣言は話題となりましたが、クレージーキャッツは名目上しばらく存続し、ハナの死後も仲間たちの絆は続いていました。ハナ肇は、そのユーモアと音楽で多くのファンに愛される存在として、今もなお人々の記憶に残り続けています。

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