おとめ座イータ星

おとめ座η星（η Vir / η Virginis）は、おとめ座の領域に位置する4等星です。この星は、複数の恒星が重力的に結びついた連星系を形成していると考えられています。詳細な観測によると、おとめ座η星は3つの星からなる複雑な系である可能性が示唆されています。

概要

おとめ座η星は分光連星として知られており、複数の星が互いに周回運動をしていると考えられています。その構造は複雑で、主に以下の3つの星から構成されていると考えられています。

1. 主星: おとめ座η星系の中心となる星です。この星が他の2つの伴星の重力的な中心となります。
2. 伴星1: 主星から平均約10天文単位（au）離れた軌道を約13.12年かけて公転しています。この伴星は、連星系全体のダイナミクスに大きな影響を与えていると考えられます。
3. 伴星2: 主星からわずか約0.5天文単位の距離を約72日の周期で公転していると推測されています。この伴星は主星に非常に近い軌道を持つため、その存在は観測が難しく、間接的な証拠からその存在が示唆されています。

これらの伴星は、いずれもスペクトルA型の恒星であると推測されています。スペクトルA型の星は、表面温度が高く、白色または青白色に見える特徴があります。これらの星が、おとめ座η星全体の光度やスペクトル特性に寄与していると考えられます。

名称

おとめ座η星の固有名である「ザニア (Zaniah)」は、アラビア語の「zāwiyat al-ʿawwāʾ」に由来します。この語は「al-ʿawwāʾの一角」を意味し、元々はγ星に対して使われていた名前が、後に誤ってη星に適用されたものです。

「al-ʿawwāʾ」とは、アラビアの月宿で13番目を指す言葉で、β星、γ星、η星、δ星、ε星といった星々が含まれています。ただし、「al-ʿawwāʾ」が具体的に何を指すのかについては、確かなことはわかっていません。一説では、「吠える犬」を意味するとも言われています。この名前の由来は、古代アラビアの天文学と文化に深く根ざしていることがわかります。

2016年9月12日、国際天文学連合（IAU）の恒星の固有名に関するワーキンググループ（WGSN）は、Zaniahをおとめ座η星Aaの固有名として正式に承認しました。この承認により、おとめ座η星の主星は正式に「ザニア」と呼ばれるようになりました。これにより、この星は天文学的な研究や一般の観測において、より正確に識別されるようになりました。

おとめ座η星は、その複雑な構造と興味深い歴史的背景から、天文学者や天文愛好家にとって魅力的な観測対象となっています。今後の観測によって、この星系の更なる詳細が明らかになることが期待されています。

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