連星

連星とは

連星（れんせい、英: Binary star）とは、二つの恒星が互いの重力によって、共通の重心の周りを軌道運動している天体のことです。双子星（ふたごぼし）とも呼ばれます。遠く離れた場所からは一つの星のように見えますが、観測技術の進歩によって連星であることが明らかになる場合があります。

連星の発見

肉眼で見える恒星の半数以上が連星である可能性が指摘されており、その存在は天文学において重要な意味を持っています。明るい方の星を主星、暗い方の星を伴星と呼びます。また、三つ以上の星が重力的に束縛されている場合は、多重連星と呼ばれます。

二重星という言葉も連星を示すことがありますが、これは地球から見て同じ方向に位置しているだけで、実際には物理的な関連性がない場合もあります。二重星は、距離が異なるため、年周視差や視線速度を正確に測定するのに役立ちます。しかし、中にはアルビレオのように、二重星か真の連星かが区別できないものもあります。

連星の重要性

連星は、軌道計算から恒星の質量を間接的に求められるため、天体物理学において非常に重要な存在です。質量が分かれば、半径や密度などの他のパラメータも推定できます。また、単一の恒星の質量光度関係の分析にも役立ちます。

連星の種類

連星は、観測方法によって大きく以下の三つに分類できます。

1. 実視連星（visual binary）
光学的な観測で、二つの星が分離して見える連星です。しかし、多くの場合、公転周期が非常に長いため、軌道要素が不明な点が多いです。
2. 分光連星（spectroscopic binary）
望遠鏡でも分離できないほど接近した連星で、スペクトルのドップラー効果からその存在が確認されます。スペクトル線の時間変化を観測することで、星の質量を推定できます。
3. 食連星（eclipsing binary）
伴星が主星の手前を通過する際に、全体の光度が周期的に変化する連星です。これらの観測から、星のサイズや形状、質量などを詳細に分析できます。
4. 位置天文的連星（astrometric binary）
見かけ上の位置の変化から、伴星の存在が示唆される連星です。伴星が非常に暗くて見えない場合や、中性子星やブラックホールである場合にこの手法が用いられます。

近接連星

主星と伴星が非常に接近している場合、互いの重力によって、伴星の形が扁平状になることがあります。このような連星を近接連星（close binary）と言います。近接連星は、星の間の距離によって、さらに以下の三つに分類されます。

分離型連星（detached binary）
両方の星がそれぞれのロッシュ・ローブ内に収まっている連星。
半分離型連星（semi-detached binary）
一方の星がロッシュ・ローブを満たし、ガスがもう一方の星に流れ込んでいる連星。
接触連星（contact binary）
両方の星がそれぞれのロッシュ・ローブを満たし、互いに接触している連星。

連星の研究成果

連星に関する研究は、200年以上にわたり続けられており、その結果、いくつかの重要な性質が明らかになっています。

恒星の少なくとも1/4は連星系であると考えられています。また、連星系の約10%は3つ以上の星からなる多重連星です。
連星の軌道周期と離心率には相関関係があり、周期の短い連星ほど円軌道に近い傾向があります。
連星の距離は、互いに表面が接触しているものから、非常に遠く離れていて重力的に束縛されていることしか分からないものまで様々です。
連星の周期は対数正規分布に従い、約100年程度の周期を持つ連星が最も多いです。
連星を構成する星の明るさが同じ場合、スペクトル型も同じであることが多いです。明るさが異なる場合は、明るい星が巨星であれば暗い星は青く、明るい星が主系列星であれば暗い星は赤い傾向があります。
連星は、恒星の質量を直接測定できるほぼ唯一の存在であり、天文学的に非常に重要な研究対象です。

連星の質量測定

実視連星の場合、軌道の形と視差から、ケプラーの第三法則を用いて質量を直接求めることができます。分光連星の場合、質量は軌道傾斜角のサインを質量に乗じた形でしか求まらないため、質量を正確に求めるには追加の情報が必要です。食連星の場合は、質量、密度、大きさ、光度、形状など、星の様々な特性を正確に決定することができます。

連星の例

7連星：さそり座ニュー星、カシオペヤ座AR星
6連星：ふたご座のカストル、みずがめ座91番星
5連星：オリオン座δ星
4連星：ぎょしゃ座のカペラ、おおぐま座ζ星ミザール、しし座のレグルス、こと座ε星
3連星：こぐま座のポラリス、ケンタウルス座α星、さそり座λ星A、オリオン座のリゲル、ペルセウス座のアルゴル、いっかくじゅう座X-1、ケプラー16、PSR B1620-26
* 2連星：おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ぎょしゃ座ε星、おうし座のアルデバラン、しし座γ星、さそり座のアンタレス、はくちょう座β星アルビレオ、みなみじゅうじ座α星、オリオン座ζ星、こと座β星、おおぐま座α星、うしかい座ξ星、かじき座AB星、くじら座のミラ、かんむり座α星、りゅうこつ座ε星、ほ座γ星、はくちょう座X-1、かに座HM星、PSR J0737-3039

まとめ

連星は、天文学において非常に重要な研究対象であり、恒星の進化や形成過程を理解する上で欠かせない存在です。観測技術の進歩により、連星に関する多くの発見がなされており、今後もその研究がさらに進むことが期待されます。

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