おはようパーソナリティ中村鋭一です

『おはようパーソナリティ中村鋭一です』は、1971年4月1日から1977年3月25日まで放送された朝日放送（現：朝日放送ラジオ）の生ワイド番組です。朝日放送のアナウンサーであり、報道局プロデューサーを務めた中村鋭一がパーソナリティを担当し、平日の早朝に放送されていました。この番組は、ラジオとテレビを兼営する朝日放送がラジオ部門を独立させた2018年以降も続く『おはようパーソナリティ』シリーズの初めての番組であり、革新的なスタイルが多くのリスナーに受け入れられました。

当初、中村は関西弁を使用しながら長時間の放送を進行し、リスナーからは「鋭ちゃん」の愛称で親しまれました。番組のスタート当初はタイトルが未定だったため、数日後に「おはようパーソナリティ」という名称が付けられました。中村の個性的な進行スタイルは、聴取者とのインタラクションを大切にし、リスナーの心をつかむことに成功しました。

この番組は、聴取率においても大きな成果を上げました。最高時には9%の聴取率を記録し、多い時には関西地域におけるカーラジオシェアが60%を超えることもありました。また、1972年度には放送時間を拡大し、同年には第10回ギャラクシー賞も受賞しました。

中村鋭一がパーソナリティに起用されるまでにはさまざまな経緯がありました。彼は以前、朝日新聞の記者としても活動しており、ラジオの新たなスタイルを模索する中で、夜の時間帯の新番組計画が進行していました。先進的なアメリカのラジオ事情を参考にし、「パーソナリティが主体の放送」を強く意識して開発された結果、この番組が生まれました。

番組内容は多岐にわたり、特に中村は阪神タイガースの熱狂的ファンであったため、阪神の応援を番組のテーマに据えることが多かったのです。中村は阪神が勝利した際には、「六甲おろし」という球団歌を生放送で熱唱し、リスナーからの支持を得ました。

番組はまた、視聴者参加型で、多くのリスナーを甲子園球場に招待する企画も行われました。これにより、リスナーとの絆を深め、さらなる人気を博しました。

しかし、1977年に中村が政界に挑戦することになり、彼の退社に伴い番組が終了。後任として道上洋三が新番組「おはようパーソナリティ道上洋三です」を引き継ぎ、そのスタイルも受け継がれました。この番組はさらに進化し、現在も続いています。

『おはようパーソナリティ中村鋭一です』の影響力は大きく、後のラジオ番組制作において、リスナーとの関わりの重要性を再認識させた初の試みとして評価されています。生放送という形式を通じて、リスナーとともに作り上げるラジオの楽しさを広めたのです。

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